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今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)12:09
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2010/03/31 (Wed)22:57

アキ様のリクエスト、レイリタで「リタが体調不良でダウンなお話」です。

おそらくレイリタ成立前です。
多分おっさんは自覚しかけてるけど、リタっちはまだっぽい感じ?

自分で書いてるのにはっきりしない……。


風邪引きさんには最上級のビタミンを


「リタっち大丈夫? 顔赤いけど」
 隣を歩きながら、大きな買い物袋を抱えたレイヴンが心配そうに顔を覗き込んでくる。先ほどまで「年寄りは労わってよ~」などとブツブツ文句を言っていただけのはずなのに、目ざといおっさんだ。
「別に何でもないわよ」
 リタは目を背けてそう返すが、顔だけでなく体全体が火照り始めていることには正直彼女自身も困惑していた。頭痛もしてきたし、歩くたびに体が重くなっているような気がする。朝起きた時から気だるさのようなものは少し感じてはいたものの、単なる寝不足だろうと思っていたのだが……。
 昨夜風呂から上がった後、髪も乾かさず薄着のままずっと本を読んでいたのが悪かったのだろうか。熱中しすぎて、読み終わってから肌寒いことに気付いたのを覚えている。
(風邪かな……やだな)
 病気は嫌いだ……まあ好きな人間はまずいないだろうが。
 身体の自由が利かなくなるし、何より研究に支障が出る。それに病床では、普段滅多に感じない人恋しさが何故かこみ上げてくる。誰かに傍にいてほしい、どうしようもなく心細い、そんな気分になる。
(ま、帰ったら大人しく寝といた方がよさそうね)
 そう考えながら、手中のメモをもう一度確認する。

 旅の途中、立ち寄った街での買い出し。くじで決まったのはリタとレイヴンのペア。
 「えー、リタっちとぉ?」「それはこっちの台詞よ!」お互いに口を尖らせながらも、結局肩を並べて宿屋を出発する二人を、仲間達がニヤニヤしながら見送ったことを彼女らはきっと知らない。

(残りは食材か……)
 買い出しリストの九割は既にチェック済み。体調の悪化は、結構歩き回ったせいかもしれない。
 さっさと終わらせてしまおう。そう思ってメモをしまおうとしたリタの視界が、霞む。
(え……)
 そして不意に、身体から力が抜けた。
 まずい、と感じた時にはもうその身体は傾いていて――
「リタっち!?」
 レイヴンの慌てた声が聞こえ、朦朧としてきた意識はそれを捉えたが、視界とともに暗転していく。

 

 目が覚めたら、世界に自分一人だけになっていた。
 街も物もそのままなのに、人影は一切ない。
 少し昔の自分なら或いは、その状況をむしろ喜んでいたかもしれない、邪魔な雑音が消え、自分の研究に集中できると。もしくはとっくの昔に夢だと気付き、割り切れていたのかもしれない。
 だが、孤独を忘れてしまった自分にはそれが出来なかった。その場から走り出し、知っている人の名前を片っ端から叫んで行く。
 どんなに叫んでも、がらんどうの街から返ってくるのは自分の声と、足音の反響だけ。
 どうしようもなく寂しくて、不安で、泣きたくなる気持ちを抑え必死に叫んだのは――

 ――おっさん……!!――

 

「リタっち……!?」
「っ!!」
 肩を強く揺さぶられて、弾かれるようにリタは瞼を開いた。
 視界の横から、レイヴンが心配そうにこちらを覗きこんできている。それを見て、最初に感じたのはなぜか安堵。そしてまだ荒い息を整えながら、鈍く痛む頭で自分の状況を分析――
「怖い夢でも見たみたいね、うなされてたわよ?
 まったく、街ん中で突然倒れるなんて……熱もあるみたいだし、だから大丈夫かって聞いたのに……」
する前に、レイヴンが溜息をつきながらも優しい手つきで頭を撫でてくる。
「医者が言うには風邪だってさ。
 今日はここでおとなしく寝てること、読書も研究もダメよ?」
 彼が運んでくれたのだろうか、リタは今、滞在中の宿のベッドに横たわっていた。
 その横に椅子を置いて、腰かけたまま彼女の額に乗せられていたタオルを取って傍にある桶に張った水で濡らし直し、また額に乗せるレイヴン。
 どんな夢を見ていたのかは覚えていないが、その姿を見ているだけで理由の分からない不安が薄れて行く気がした。
「とりあえず、何か食べる物持ってくるわ。今は身体が弱ってるから、体力つけなきゃね」
「え……?」
 だがそれも束の間、レイヴンはそう言って身を翻そうとする。
「まって……!」
 再び襲ってきた得体の知れない不安。思わず彼の手首を掴んで引き留めた。

「行か、ないで……」

 面食らったように、レイヴンの目が見開かれる。
 自分でも、普段だと絶対に言わないであろうことを言っていることは自覚している。正直恥ずかしいし、抵抗もない訳ではない。だがそれ以上に、目の前のレイヴンが離れて行くことに対する不安に耐えられなかった。
 だがレイヴンはそんなリタを訝しむ様子もなく、すぐに微笑みを浮かべてもう1度彼女の頭を撫でる。
「大丈夫、ちょっと出てくるだけだから。ね? 3分以内に帰ってくるわ」
「ホント?」
「ほんとほんと、もしオーバーしたら元気になってからファイヤーボールでも何でもかましてくれればいいからさ」
 面倒をかけているのはリタのはずなのに、レイヴンはわざわざ自分に火の粉、もとい火の玉が飛んでくることも許してみせる。
「……んじゃ、待っててね」
 リタが手の力を緩めるとその手を一度きつく握ってやってから、レイヴンは踵を返して部屋を出て行った。
 ドアを閉めた瞬間、走るような慌ただしい足音が遠ざかっていく。
「うん……待ってる……」
 その音から必死の形相のレイヴンの様子が脳内に浮かんできて、申し訳ないような気持になりながらリタは一人、ぽつりと呟いた。

 

 また慌ただしい足音が近づいて来て、ドアが開く。
「た、だいまぁぁぁぁぁ」
 肩で息をしながら入ってきたレイヴンの手には、リンゴと果物ナイフ。
「お、おかえり……」
 3分間を計っていた訳ではないので間にあったのかどうかはリタには分からないが、それでも彼が出来るだけ早く戻って来てくれたことが嬉しかった。
 レイヴンはリタの隣まで戻ってくると、また椅子に座り、リンゴをかざしてみせる。
「とりあえず今これしかなかったんだけど、食べられる?」
 そしてリタが仰向けのままこっくりとうなずいたのを確認すると、器用に皮をむきはじめた。
 その間に、先ほどよりはっきりしてきた頭に浮かんだ疑問を、リタは口にする。
「……他の皆は?」
 するとレイヴンは肩をすくめて答える。
「青年と少年とジュディスちゃんとわんこはギルドで仕事が入ったとかでどっか行っちまったわ。フレン君と嬢ちゃんは俺達の代わりに買い物の続きをしてくれてて、パティちゃんも個人的に買いたいものがあるってことでそれについて行ってんのよ」
 「ついでに皆には声をそろえて『とにかく傍にいてやれ』とか言われちゃったー」と続け、引き続きリンゴの皮をむきながら苦笑を浮かべる。
 つまり、今宿にいる仲間はレイヴン1人ということか。フレンとエステルには悪いことしたかも知れないと思いながら、「ふぅん」とリタは返す。
「ほい」
 そうしている内にレイヴンはリンゴをむき終わり、適当な大きさに切ってから部屋に備え付けの皿に乗せ、その内の1個をフォークに刺してリタの口元に近づける。
「無理に食べなくていいからね、食べられるだけ食べてちょうだい」
 微笑んでそう言ってくる彼を見つめてから、差し出されたリンゴに視線を移し、ぎこちなく口を開ける。
(初めて……かも。人に何かを食べさせてもらうの……)
 その大半が、子供相手の行為であることは知っている。普段なら子供扱いされるとすぐに憎まれ口を叩くところだが、今はそこまで悪い気はしなかった。これも熱のせいだろうか。
 しゃく……とそのリンゴをかじり、口の中でかみ砕いていく。甘くてかすかに酸っぱい蜜が冷たいリンゴから染み出してきて、飲み込むと渇いた喉と身体に染み渡っていくような気がした。
 それから二口、三口とリンゴをかじって行き、一切れがなくなるとレイヴンが次の一切れを差し出してくる。
 それが何だか照れ臭くもあって、嬉しくもあって、元々熱かった頬が更に熱を帯びたのが分かる。

(変なの……)

 さっきまであんなに不安だったのに、レイヴンがいるだけでこんなに安心できるなんて。

 

 半分ほど食べたところでもう食べられなくなり、残った分はレイヴンが消化することになった。
「他に欲しいモンある?」
「ない……」
 短く答えてゆっくりと首を振る。
「もう、大丈夫だから……伝染る前におっさんも自分の部屋に帰ってて」
「やだ」
 随分甘えてしまったと思い、彼を気遣って紡いだ言葉はしかしたったの2文字で拒否されてしまった。リタの口がぽかんと開き、素っ頓狂な声が上がる。
「は?」
「リタっちの熱が下がるまでここにいる」
 優しく笑いながらも、まるで駄々をこねる子供のような口調でレイヴンは宣言した。
「ちょ、何言ってんのよ。あたしはあんたに伝染したら悪いと思って……」
 言い返そうとするが、興奮したためか頭痛が増してしまい言葉が途切れた。
 レイヴンは苦笑してそんな彼女の頭にもう1度手を乗せながら、なだめるようにゆっくりと話し始める。

「リタっちがまた悪い夢にうなされてたらおっさんが起こしてあげるから。何か欲しいモンがあったらすぐ用意してあげるから。ね?
 だから今日ぐらい、おっさんの好きなようにリタっちを心配させてちょうだいな。
 いっつもおっさんの方がコイツのことで世話になってばっかなんだしさ」

 彼のもう片方の手は、自身の左胸に当てられていた。
「それと、もうお風呂上がりに読書は禁止。お風呂から出たら、すぐに髪の毛乾かして暖かい恰好にして寝ること」
「………………」
 本当は、昨日読んでいた本はそこにある心臓魔導器に関するもの――ひょっとしたら、彼はそのことに気付いているのかもしれない。
「……分かった……」
 観念してぼそりと答えるリタに、レイヴンはにこりと微笑む。
 その表情にまた顔の熱が上がるのを感じる。やっぱり、今日の自分は何か変だ。
「ま、という訳だからさ、安心して寝ときな? 起きた頃には、だいぶ楽になってるはずだから」
 そんな言葉と共に、頭に触れていたレイヴンの手が離れる。
(あ……)
 それが不思議なくらい名残惜しくて、思わず彼の顔をまじまじと見つめてしまった。
「ん? どうかした?」
 それに気付いたレイヴンは首を傾げて尋ねてくる。

(……今日ぐらい……甘えてもいいよね……あたし、何か変だし)

「おっさん……」
「なぁに?」
「……手、握ってて欲しい……」

 意を決してそう言ったはいいものの、やはり気恥かしくて、目を逸らしてしまった。
 レイヴンはまた驚いたようにポカンとしながら、ただ彼女を見つめている。
(……流石に、子どもっぽすぎか……)
 その視線に耐えきれずに、すぐにリタは手を振って発言を撤回しようとする、が――
「お安いご用ですよ、お姫様」
 その手を、レイヴンの大きくて硬い手が包み込んだ。
「あんまり心地いい手じゃないかもしんないけどね」
 苦笑しながら、彼が手を握ってくる。……リタも、その手をきゅっと握り返した。

「……ありがと」

 小さく礼だけ言って、彼女はもう1度目を閉じた。

 

 眠りについたリタの手を握り続けながら、レイヴンは彼女の寝顔を観察する。
 先ほど起こした時は本当に苦しそうな顔をしていて、額には汗も浮かんでいた。だが今の彼女は寝息も静かだし、穏やかな寝顔を浮かべている。
「どんなひどい夢見てたんだろうね、この娘は……」
 浮かされるほどの高熱で、リタは一体何に苦しんでいたのか……うわごとにレイヴンを呼んでまで。
 少女の夢の詮索など悪趣味と言われるかもしれないが、ただ、起きた後の彼女の言動からよっぽど一人が不安になるような夢を見たのは確実のようだ。
(夢の中でもまたなんかやらかしたんかねぇ、俺……)
 そんなことを考えながら握ったリタの手を指で撫でてやると、彼女の寝顔に幸せそうな笑みが浮かんだ。
 その顔が可愛らしくて、思わずレイヴンもつられて笑ってしまう、その時――

「おっさ…………ずっと……そ、ば……いて……」

 彼女の口から飛び出した言葉に、一気に顔が熱くなった。
(え? え!? 今度はどんな夢見てんのこの娘!?)
 あわあわとテンパりながら、しかし取るべき行動もなくレイヴンはただその場で小さな手を握り続ける。

「……あー、風邪伝染っちまったかなー……」

 下がる気配のない顔の熱に溜息をつきながら、レイヴンは一人そう呟いた。

 

「起きるまで握っているに一票です」
「以下同文なのじゃ」
「じゃあ俺はその挙句明日おっさんが熱出して寝込むに一票」
「わふっ」
「うわ……ありそうだけど困るなぁ……」
「フフ、なら私は更にあの娘がお返しに看病するに一票ね」
「なんてベタな展開……って皆! ドアにひっついて部屋の中を盗み聞きなんてプライバシーの侵害だぞ!!」
「わ、バカお前声がでか――」
 ガチャ
『!!』
「おやおや皆さんお揃いで……なぁにしてんのかしら……?
 中には病人がいるんだから、あんまり不穏な気配を垂れ流さないでね?」
『……すみませんでした』
 













相変わらずヘタレな2人と、生温かい目で見守るパーティーメンバーでした。

弱り切ってるリタっちとかマジ楽しかったです、はい(^p^)


アキ様リクエストありがとうございました!

こんなんでよければお持ち帰りください。
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