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しかし残るメディア展開が本当に映像しか残ってないんですが。
どうしましょうか……公式で天使なまいたけが視覚的に見られると思うだけで動悸がしますハァハァ。
あ、続きで久々に現パロです。
扱いに困っていたあの人の扱いが決定しました。
Heartful Life ♯20:3人目
(……こんなもん、かな)
キャナリ達が遊びに来た翌日、あたしは早速昨日の反省を生かして部屋の片づけをしていた。と言っても、散らかっていた読みかけの本はとりあえずベッド脇にまとめ、更に散らかっていた読破済みの本は本棚へと戻しただけなんだけど。
「あれ?」
これからは読み終わった本はちゃんと本棚に戻そう、そう考えながら最後の本を本棚に戻そうとした時に、ふと本棚の裏側から何かが覗いていることに気づく。
白色のやや分厚い本みたいなものだった。あたしがこの部屋に入ってからは見覚えがないものなので、それ以前に本棚と壁の間に滑り落ちてしまったものだろう。
引っ張り出してみると、硬い表紙に厚いページ……アルバムだ。
(おっさんたちの……かしら……?)
あの2人の若いころの写真なんかが保存されているのだろうか……今までなら大して興味も持たなかっただろうけど、正直、すごく見たい。
窓を開けて薄く積もった埃を掃ってから、あたしは好奇心のまま表紙を開く。
最初のページに貼ってあったのは、やや大きめの写真。
生まれたばかりの赤ん坊が、3人横に並んでいる。日付は、今から35年前。
(え、3人……?)
そこまで見て、あたしは首を傾げる。だって、あいつらは双子だったはず……。
――ダミュロン、シュヴァーン、レイヴン誕生。3人共健康。一気に家族が2倍以上になりました(笑)――
写真の下に貼られた付箋紙に書かれたコメントから考えて、この内2人はシュヴァーンとおっさんで間違いないようだ。見分けつかないけど。
でも、ダミュロンって一体……?
ページをめくると、今度は病室のベッドに上半身を起こして1人を抱く女の人と、その横で2人を抱く男の人。3人の両親だろう、優しい母親と、少し厳格な父親って感じがする。
それからしばらくは、3人の写真がメインでたまに母親や父親が写った写真が続く。3台並んだベビーベッドに、それぞれその中ですやすやと眠る姿。おもちゃ(たぶんガラガラ音がするやつ)をまじまじと見つめる姿。少し月日が経つと3人揃って積み木を口に突っ込んでいたり、テーブルの脚につかまり立ちしてカメラに手を伸ばしていたり、ぺちぺち叩き合ってしまいには両方泣いてしまったダミュロンとレイヴンの額をシュヴァーンが撫でていたり(と、コメントに書いてあった)、微笑ましい写真が並んでいる。
ダミュロンのことは気になったままだけれど、今からは想像できないおっさんたちの小さなあどけない姿に思わずあたしの頬が緩む。
でも、その次。様子が少し変わった。
カメラには目もくれず、ショートケーキを頬張って満面の笑顔。口の周りやほっぺたにまで生クリームをつけて、丸いフォークを握りしめている姿は、今まで通り小さくて可愛い子ども。
でも――
(1人いない……)
そこに映っているのは2人だけ。同じページにあるほかの写真にも、3人で映っているものは1枚もない。
それに、この場所……これって、病室?
まじまじと見ていると、2人ともずっとパジャマ姿で、その隙間から伸びているコードが見える写真もある。近くには何やら機器も置いてあって、どう見ても病室だ。
日付を見るとどうやら4歳の誕生日で、前の写真からは半年くらい時間が空いていた。
あたしは急に、自分が踏み込んではいけないところに踏み込んでしまったような、得体の知れない不安感に襲われた。ただでさえ他人のアルバムを勝手に見てしまっているのに、もし、2人があたしに知られたくないことを見てしまっていたら……。
今までは、他人にプライベートに踏み込まれることも、他人のプライベートに踏み込むことも嫌いだった。だから、急に深いところに踏み込んでしまったことに動揺してしまって――
もしこれが、最初から最後までほのぼのとした双子の成長記録だったのならこんなに動揺しなくてもよかったのかもしれないけど、そんなことを思ってみたところでなんら状況は変わらない。
今はとにかくアルバムを閉じて、本棚の上に置く。それから逃げるようにしてベッドに座り、ヴィクトリアを抱え込んだ。この子は抱き心地が良くて、本当に落ち着く。
だけど、疑問と不安は膨らんでいくばかり。おっさんたちはホントは三つ子だったのかとか、どうして入院していたのかとか、ダミュロンはどうなったのかとか……勝手にアルバムを見てしまって、あいつらに嫌われないか、とか……。
むぎゅう。ヴィクトリアが本物のクマだったら悲鳴を上げそうなくらい強い力で、その身体を抱きしめる。
とりあえず、今はアルバムのことは考えないようにしよう。おっさん達が帰って来てから、ちゃんと謝って……で、返さなきゃ。ひょっとしたら探していたのかもしれないし。
「……よし」
深呼吸をひとつして、その不安をひとまずふっ切る。
今からうじうじ考えていたってどうしようもない、あいつらが帰ってくるまではまだまだ時間があるんだから。
時計を見れば時間は正午、丁度お腹も空いてきたことだし、あたしの昼用に作り置きしてもらったドネルケバブを食べよう。その後は読みかけのあの医学書を読んで、昨日キャナリに買ってもらった料理本にも目を通して……今日はシュヴァーンが料理当番の日だから、やっぱり洋食かな……?
半分くらい自棄になって、不安を忘れるべく現実に逃避する。ヴィクトリアを解放し、少し崩れてしまったリボンを結び直し頭を撫でてやってから、あたしは部屋を後にした。
夕方になって、シュヴァーンが帰ってきて、少し遅れておっさんが帰ってきた。言わなきゃ言わなきゃと思っていたのに、いざ切り出そうとすると竦んでしまったかのように口が開かなかった。
そのままシュヴァーンと一緒に夕食を作って(今日は予習の成果もあってあまり足を引っ張らずに済んだ。ちなみにメニューはミネストローネ)、3人でいつも通り食卓を囲って食べて、食器を片づけて――
「あ、あの……」
結局、あたしが切り出せたのは2人が食後のコーヒーでまったりしている時間。
「これ、今日部屋片付けてたら見つけたん、だけど……」
不自然に言葉を切りながら一旦部屋に帰って持ち出してきたアルバムを差し出すと、2人はまずそれをまじまじと眺め、正体が分かったら少し驚いたようだった。
「それ、もしかしておっさん達のアルバム?」
「う、うん……」
「どこにあったんだ?」
「本棚の裏に落ちてた」
それからあたしはアルバムをテーブルの上に置き、うつむく。
「? どしたのリタっち」
そんなあたしの様子を心配してくれたのかおっさんが尋ねてくるけど、あたしは顔を上げることが出来なかった。
「……ごめん。途中まで、勝手に中見ちゃった」
そして、弱々しい声でそう告白すると2人はしばしの間沈黙して――
『ぷっ』
同時に、吹きだした。
「え、何なにリタっち。ひょっとして帰った時から様子がおかしかったのってそんなこと気にしてたから?」
「え?」
笑いをこらえるようなおっさんの声にばっと顔を上げると、安心するついでに拍子抜けしたようなおっさんと目が合った。シュヴァーンに至っては片手で額を隠しながらもう片方の手でお腹を抑え、肩を震わせている。
「何か思いつめたような顔してるからさ、何かあったのか聞こうかどうしようかシュヴァーンと相談してたところよ」
「それがまさか俺達のアルバムが原因だったとはな……くくっ」
途端に、あたしの顔がかっと熱くなる。
「な、何よ! あたしは、あんた達が見られたくないモンだったらどうしようと思って……!!」
昼からの不安は結局杞憂に終わり、挙句の果てにはそれを笑い飛ばされてしまったあたしは完全に逆切れ状態になり、つい声を荒らげてしまった。
するとおっさんがあたしの頭に手を伸ばしてきて、くしゃくしゃと撫でる。
「あーごめん、ごめんってば。リタっちだって気ぃ遣ってくれたんだもんね。折角見つけてくれたんだし、まずはお礼言うべきだったわ。ありがと」
「ああ。ありがとうリタぶふっ」
そうは言ってくれるものの、肩を震わせているおっさんと言い、またも吹きだすシュヴァーンと言い、まったくもって誠意が伝わってこない。
「別に、見つけたくて見つけた訳じゃないわよ。てゆーか、こんな笑われるんだったら見つけたくなかったわ」
「まあまあそう言わずに、もっと見せてあげるからさーおっさん達の可愛い写真」
そう言うとおっさんは自分の隣の椅子を引いて、あたしの着席を促す。
「むぅ……」
まだ腹は立っていたけど、あたしはおとなしくその椅子に座った。だって、アルバムの中にはまだ大きな疑問が残っていたから。あんだけ笑ってたってことはあたしが踏み込んでも大丈夫なんだろう。
おっさんはもう一度あたしの頭を撫でてから、テーブルの上にアルバムに手をかけた。
「ま、リタっちがビックリするのも無理ないか」
表紙を開けば、やっぱりそこには3人の赤ん坊の写真。おっさんに、シュヴァーンに、そしてダミュロン。
「別に嘘ついたつもりはなかったんだけどね、見てのとおり元々は3つ子だったのよ、おっさん達」
先程とは打って変わって、あたしに語り聞かせるような優しい口調でおっさんは話し始める。シュヴァーンももう腹筋が落ち着いたのか、頬杖をついて静かにアルバムを眺めていた。
「1番上がダミュロン、2番目がシュヴァーン、そんでおっさんが3番目」
左から順番に指し示していってから、おっさんはページをめくる。
「で、これが親父とお袋。お袋の方はごく普通の育ちなんだけど、親父はちょっとした大会社の3代目の社長でね、一気に跡取り候補が3人も増えたって喜んでたらしいわ」
何かさらっとすごいことを言われたような気がするが、どう口を挟んでいいのか分からない。実際、この2人は大会社じゃなくて大学と大学病院に勤めていて、ダミュロンという兄がいる筈なのに自分達のことを自然に双子と紹介した。確かにすごいけど、現状と反する説明――やっぱり、下手に話の腰を折らない方がいいのかもしれない。
それから1枚1枚、おっさんはあたしにも見えるようにゆっくりとページをめくっていった。
虚空の仮面発売前に始まったパロなので、当時ダミュロンを知った時すんごい焦ったんだぜ☆
しかし行き当たりばったり方向性がほとんど固まってなかったのをいいことに無理やり入れてみたんだぜ☆
実はキャナリも当初全然違うキャラにしてたのを慌てて修正したんだぜ☆
ぽちっとお願いしますm(_ _)m