おっさんの見せ場が増えてるらしいですが……ニコ動のプレイ動画にも上がってるけど、絶対に見ないんだからぁっ! プレイするまでのお楽しみにしとくんだからねっ!!
水着コスも発表されたし、あとはおっさんの歴代コスが何になるか……wktk
それでは長らくお待たせしました、3000HITのキリリク、「レイリタでお酒・酒場ネタ」です。
キリリク全体でどうも文量に差が出すぎてしまってますね……どのリクも同じくらいノリノリで書いてはいるんですがorz
Get Drunk on You
軽い足音が、部屋の前で止まる。リタだろうな、武器の手入れをしていたレイヴンはそう思いながらその手を止め、ドアの方を振り向いた。
「おっさん、今お酒持ってる?」
それとほぼ同時に部屋のドアを開けて顔をのぞかせてきたのはやはり彼女であった。
極自然にそう尋ねてこられたため、レイヴンの方も大して深く考えずに答えを返す。
「うんにゃ、もってないわよ?」
「そう」
逡巡するように顎に手を当てる少女。
(……ん?)
それからやっと、その問いの不可解さに気付く。
「あの……リタっち――」
「仕方ない、酒場ででも買ってくるか」
だがレイヴンがその不可解さを解決するため問い返すより早く、意外と行動派のリタはそう呟いて身を翻そうとしていた。
「ちょちょっ! 待ちなさいリタっち!!」
手に持っていた武器と手入れ道具を放り出し猛烈な勢いでその場から立ち上がると、彼女が閉めようとしたドアに跳びつき、再度開く。
「何?」
振り向いて首をかしげるリタ。
その大きな翠眼、華奢な体、高い声――いつもの可愛らしい少女だ。あーもーきょとんとしちゃって可愛いなちくしょう……って、今はそんな愛らしさに惚気ている場合ではなく、むしろだからこそ問題なのであって。
「ダメよリタっち! 例え青年たちが許してもおっさんは許しません!!」
「は?」
ますます訳が分からないという様子のリタだが、レイヴンのテンションはそれに構わず何故か上がっていく。
「リタっち何か嫌なことでもあったの? おっさんでよかったらいくらでも聞いてあげるから……今からそっちに逃げちゃダメぇぇぇ! 非行少女になったリタっちなんて、おっさん見たくないわよぉ!!」
挙句の果てにはすがるように抱きついた。
流石にここまでくれば、彼が何を考えているのか、何を言わんとしているのかも読めて来る。
「お酒は成人してからぶへっ!!」
「誰が飲むっつたのよこのスカポンタン!!」
勘違いも甚だしいその思考に腹が立ち、とりあえず顔面を殴り飛ばす。それでも一応自分のことを心配してくれているのだと思い張り手にとどめておいたが。
「へ、違うの?」
殴られた頬をさすりながら素っ頓狂な声を出して問い返してくるレイヴン。殴られたことに関する文句がないのはこちらの方が重要だからか、或いは彼女の暴力が日常の一部となってしまっているからか……おそらく両方だろう。
何となくこちらの方が虚しくなってくるような事実に気付くも、今の本題はそれではないので思考からはすぐに外しておく。
「実験用のアルコールが切れちゃったから代用品探してるの! この時間だともうそーゆーの売ってるお店開いてないから」
彼女の言葉を聞いて、レイヴンはほっと安堵の息を吐く。
「なんだー、そうならそうと始めっから言ってくれればよかったのに……いきなりお酒あるかなんて聞かれたら、おっさんびっくりするわよ」
そう言われてみれば、確かに誤解を招きかねない態度だったかもしれない。
未成年の自分が酒を求める以上、何かしらの説明は確かに必要だろう。
「わ、悪かったわね……」
ばつが悪そうに、リタは視線を逸らしながらも珍しく素直に謝る。まあ、自分の否に気付いてしまったのにそれを認めないのは子供の証拠だ。
そんなリタの様子にレイヴンは少しばかり驚き、そして微笑む。こんな風に素直になり切れない彼女の一面もまた、可愛くて仕方ない。
「ま、いいっていいって。そう言うことならおっさんも買い物付き合うわ」
そしてにやけた表情のままそう申し出るが、やはり(と言うのもなんだかさびしいが)リタはあからさまに気が向かなさそうな顔。
「そんな顔しなさんなって。この町の酒場のマスターならおっさん顔見知りだし、リタっちだけで行くより絶対話付けやすいからさ。
それに、こんな時間に女の子が1人で酒場なんかに行ったら危ないでしょ?」
リタはしばらく考えたのち、こくんと頷く。そもそも断る理由はただ照れくさいという理由しかないし、それに、彼の言葉が本当にリタの身を案じているからだと分かっているから。そして、そんな彼の気持ちが嬉しいのも、また事実なのだ。
日付も変わろうというころだというのに、酒場には多くの客が入っていた。
ほろ酔いから泥酔まで、様々に酒と付き合いながら1日の終わりを過ごす大人たち――その間を、いかにも胡散臭い中年と小柄ながらも気の強そうな少女が通り抜ける。
本人たちも分かっているだろうが、前者はともかく後者はまったくもってこの場に似つかわしくない。しかし奇異の目を向けられながらも、2人は真っ直ぐにカウンターに向かう。
「よっ、久しぶりマスター」
丁度席が2つ空いていたが2人はそれに座ることはせず、カウンターに肘を乗せるだけでレイヴンがその中にいる店主らしき男に声をかけた。
すると男はレイヴンに親しげな笑みを向け、そしてその隣のリタを一瞥する。
「おや旦那、お子さんがいらしたんですか?」
彼の言葉に、むっとした様子のリタ。だが彼女がその口を開く前にレイヴンが手と首を振って否定する。
「違う違う、俺が父親でこんな可愛い娘が生まれる訳ないでしょーよ。
ちょっと事情があってね、今一緒に旅してんの」
それだけの説明で、店主は納得したようだった。ギルド関係の仕事か何かだとでも思ったのだろう。まあ、レイヴンの言葉に嘘がある訳でもないのだが。
「で、そんな健康的な娘さんを連れて何でこんな不健康なところに?」
次に来るのは、当然この手の問いだろう。しかもどことなく冷めた目で。
「あのねぇ、そーゆー目で客見てたら売上落ちるよ?
この娘がかなりの実験好きでね、実験用のアルコールの代用品を探してるのよ。ちょいと譲ってくんない?」
レイヴンはそう本題を切り出し、リタを眼で示す。店主は再び彼女に目を向けると、苦笑しながら尋ねてくる。
「へぇ、そいつはどうも悪かったな。……お嬢さん、どんなモノをご所望かな?」
気に入らない発言もあるが、悪い人間ではないようだ。
「なるべく純度の高いものがいいわ。ある程度の不純物はこっちで調整できるけど、色素と糖分は出来るだけ含まれてないものをお願い」
そう要望を出すと、彼はすぐに了解の返答を出し、カウンターの奥へと消えていった。
「それにしても、こんな時間まで何の実験してんのよ?」
店主を待つ間、暇そうにレイヴンが尋ねて来る。
「別に何だっていいでしょ……」
ぷいっとそっぽを向いて答えるリタだったが、逸らした視線の先の席についていた男性客達が不審げにこちらを眺めているのに気付く。どうせ、こんな時間、こんな店に父娘連れで来ているおかしな客、とでも思われているのだろう。それがひどく気に障って、しかし突っかかっていくのも馬鹿馬鹿しい。それに、レイヴンとの本当の関係を明かしたところで、ますます特異な目で見られるだけだろう……。コンプレックスとでも言うのだろうか、とにかく、彼との交際自体は本当に幸せなのだが、周囲のそういった反応が毎度毎度気に食わない。
結局すぐに視線をレイヴンに戻すと、彼は文字通り口を尖らせていた。
「ぶー、つれないねぇ。折角おっさんが連れてきてあげたのに」
「頼んだつもりはないわ」
むしろ2人で来てしまったことで、ある意味1人で来た場合に向けられたであろうものより腹の立つ視線を向けられている。店主との交渉にしろ、あの様子だと1人でも大して手間取るような相手ではないだろう。
(ホント……こんなムードじゃデートにもならないし……)
実は自分の方が下心を抱いていただなんて、例え口が裂けても言えない。
……ちなみに実験の内容は、アルコールが生命力で動くヘルメス式魔導器にもたらす影響の検証なのだが、それも同様である。
「?」
至って冷たい態度を取りながらも、ひとりで顔を赤くしているリタにレイヴンは首をひねる。流石の彼も少女の下心と実験内容まで見透かすことはできなかったようだ。
その時、「はい、お待たせ」という声とともに店主が戻って来た。その手には無色透明の液体が入ったボトルが掴まれている。
「こいつでどうだい?」
リタは差し出されたそれを手に取り、ラベルの成分表示を確認する。
「……ん、上等ね。これにするわ」
あくまで実験用品を見る目で是を出す。だがレイヴンはそうではなかった。
「ちょ……これ、高いんじゃないの!?」
酒好きの彼らしく、銘柄を見ただけで酒としての価値を見抜いたようだ。顔を青くしながらも、その瞳は若干の羨望の色を宿している。
だが店主は肩をすくめると、
「まぁ……ね。でも癖が強すぎて頼む人誰もいなくてな、1回栓開けてるからこのまま放っといても悪くなるだけだししょうがないから格安で譲ることにするよ。旦那には昔から世話になってるしな」
そう言って彼が提示した値段には、リタよりもレイヴンが飛びついた。
「いやー、いい買い物したわねーリタっち」
宿に帰り、レイヴンが上機嫌に言う。
「そうね」
リタとしても本来の実験用アルコールとそう変わらない値段で変えたので不満はない。やはりレイヴンと一緒に行ったのは正解だったようだ。
「よし、じゃあ早速……」
「一杯だけだからね」
テーブルに着くなりグラスを用意しボトルのふたを開けるレイヴンに、リタはそう釘をさす。
帰り道で、レイヴンが一杯だけ飲ませてくれとせがんできたのだ。まあ、代金を払ってくれたのも彼であったし、ここまで付き合ってくれたこともあるのでリタは素直に了承した。
「かーっ、キッツ~……!」
グラスの半分ほどに注いだ酒を一口だけ飲み、声を裏返らせる。だがその顔には笑みすら浮かんでいて、度数から考えても彼がかなりの酒豪であることが窺える。
「おいしいの? それ……」
興味本位でリタが尋ねると、彼は目をこちらに向け少しだけ考え込むように薄く笑う。
「そうねー……おいしいかどうかって言われたら微妙だけど、なんてーか気持ちいいのよね、きついの飲んだ時の高揚感みたいのが」
「ふーん……」
理解できるようなできないような答えだが、まあいいか。そう思って適当に相槌を打っておく。そんな意図を読み取ったのか、レイヴンは苦笑を浮かべる。
「ま、どっちにしろリタっちにはまだ早いからねー、も少し大きくなったらフツーのお酒から始めましょ」
そう言って再びグラスを傾ける。
彼の口内に消えていく液体をじっと眺めながらも、リタは何も言わずしばらくしてからテーブルの上のボトルを手に取った。
「……じゃ、あたしは実験に戻るから」
そして身を翻し、部屋を後にするべくドアに手をかける。
「無理しちゃだめよ~」
振り向くと、レイヴンが手を振りながらヘラリと笑いかけて来ていた。
「……わかってる」
ボソリとそう答えて、リタは部屋を出た。
実験用具の準備を一通り終え、酒の入ったボトルに手をかける。
栓を開ける前に、ふと中身をボトル内で転がすと、ちゃぷんと音を立てて透明な液体がはねた。
見た目は水と変わらない、しかし味も成分も全く違う、もっと大人向けの飲み物。
アルコール自体は何度も扱ってきたが、今までのものとは違い完全な飲料用であるため何となく意識してしまう。
成分はすべて分かっている。人体にもたらす影響は個人差もあるが把握済み、その味も大体想像がつく、つまり自分にとって好ましい物ではないはずだ。
それでも、理屈では割り切れないもやもやとした感情が、自分の意識をこの液体に集中させている。
(大人……か……)
分かっている、自分はまだ子供だ。身体も小さいし、体力もないし、何より子供扱いされるとすぐ機嫌が悪くなる。
そんな子供な自分を、彼は愛おしく思ってくれている。そしてそのために――完全には足を踏み出してくれない。周囲の視線だって、あんな調子だ。
こんな馬鹿馬鹿しいことをしても、その問題が解決しないことなど重々承知だ。むしろ自分の子供っぽさに輪をかけるような行為だ。が――
「1杯ぐらい……いいかな」
流石にストレートでは全部飲みきれそうにないため水で割った酒を引き続き煽りながら、レイヴンは洩らす。
「……少し、子供扱いしすぎたかしら」
始終機嫌がいいとは言えなかった少女の様子を思い出す。その原因は探るまでもなく、酒場での周囲の反応と、自分の態度だ。
難しい年頃だな、といつも感じている。それに加えて頭のいい娘だから、自分の幼さも、それを気遣っている彼の気持ちも重々分かっていて――だからこそ歯痒い思いをしているのだろう。
「ほんと、ヘタレよねー……おっさんも」
苦笑して、残った酒を飲み干す。割ってもなお焼けつくような感覚を喉に残し、最後の一口は胃に収まった。
それにしても確かに癖は強いがいい酒だった、リタは全部使ってしまうのだろうか? やはりもったいないことをしたかもしれないな、とわずかばかり後悔の念を抱きながら、グラスを片付けるため立ち上がる。
その時――
「おっしゃぁ~ん!!」
不意に部屋のドアが開き、てっきり今頃実験に熱中しているだろうと思っていたリタが再びやって来た。が、どうやら様子がおかしい。
先ほどの呼びかけ、呂律が回っていない。それにドアのところから動いてはいないがその足元はふらふらとおぼつかず、更に目が据わっている。
「リタっち?」
嫌な予感がして歩み寄ると、彼女は倒れこむようにして抱きついて来た。
「わわっ!」
突然の出来事であった上酒が回っているせいか、いとも簡単にバランスを崩し尻もちをついてしまう。
とりあえず彼女の転倒は阻止しようと、片手で彼女を抱きとめながらもう片腕を床について2人分の体重を支える。
「ちょっ! リタっちどうしたのよ!? まさか――」
本人に確認するまでもない、彼女は明らかに酔っている……しかも相当。
「あの酒、飲んじゃったの!?」
完全にうろたえた様子でそう問うが、こちらを見上げてきた彼女の顔を見て思わず息をのむ。
「おっしゃん……」
アルコールのせいで赤く染まった顔に浮かんでいたのは、ぼんやりとした表情……そして大粒の涙。
「いなく……ならないでよぉ……。あたし、大人になるからぁ!!」
そのまま幼児のようにぐすぐすと泣き出してしまった。
呆然とその様子を見つめていたレイヴンの思考が、ゆっくりと再開し始める。
えーと、つまりこれアレよね? 子供扱いされるのが嫌になってちょっと背伸びしようと思ってお酒に手ぇ出しちゃったとかいうアレよね? え、ちょ、なに可愛いことしちゃってくれてんの。……っていやいやそうじゃなくて、そんなに思いつめてたのこの娘?
嬉しいような申し訳ないような思いが巻き起こり、そしてそれ以上に目の前で泣きじゃくる少女が愛おしくなってその肩を抱きしめる。
「大丈夫だって、リタっち。おっさんは今のままのリタっちも十分大好きだから」
「しょんなこと、知ってるもん……でもおっしゃん、いっつも踏みとどまってるじゃない……! それ、あたしが子供だからでしょぉ!!」
レイヴンの言葉を認めたうえで、それでもなお縋りついてくるリタ。
「やだぁ! あたしだって、おっさんのこと大しゅきだもん!! でもおっしゃんが、あたしが子供だからって変に気ぃ遣うから……だからぁ……!!」
普段の彼女なら絶対に言わないであろう告白に、逆にレイヴンの方が赤面してしまう。それと同時に、思いの外自分が彼女に寂しい思いをさせてしまっていたことに気付く。
「……ごめんね、リタっち……」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を指で拭ってやりながら、レイヴンは微笑む。
「リタっちを大切にしたいって気持ち……裏目に出てたみたいね。でもね、おっさんはリタっちが子供だからってリタっちの前からいなくなったりなんてことはしないから。リタっちがおっさんなんかいらないって言わない限り、ずっと一緒にいるから……ね?
だからリタっちは、焦らなくてもいいの。自分のペースで大人になっていってちょうだい?
……まあおっさんも、もう少し子供扱いは控えるようにするわ」
泥酔状態の彼女が聞き取りやすいようゆっくりと述べてから、優しく頭を撫でてやる。するとリタは安心したのか、その顔を彼の服に埋めて今度は何の言葉も発さずに泣き始めた。
「ふえぇぇ~ん!!」
「あーよしよし……」
その背中をさすりながら、彼女が落ち着くのを待つ。
それにしても、あの酒をよく飲めたものだ。あれは初めて飲酒する人間が飲めるような代物ではない。ましてや彼女のような年頃だと飲み込むのも辛い程、まず味がアルコールに支配され過ぎている。それを、例え一口だったとしても飲み込めたということは、よっぽど子供扱いが悔しかったのか――それとも、アルコールの味自体は平気なのか。後者だとすると、先が怖い気もする。
そんなことを考えているうちに、リタが静かになって来た。
顔を覗き込んで見ると、目に涙を溜めたまま眠り込んでしまっているようだった。規則正しく深い息を繰り返し、彼を掴む手も弛緩し始めている。
「あーあー、人の気も知らずに幸せそうに寝ちゃって……実験どうするつもりなのよ」
溜息混じりにそう呟くが、もはやまどろみの中に落ちてしまった彼女は返答にもならないようなかすかな声を発しただけで、そのまま動く気配はない。
明日目覚めた時、この娘は今夜の出来事を覚えているのだろうか。覚えていなかったら何だか残念な気もするが、覚えていたら覚えていたで恥ずかしさのあまり当たり散らされるのは確実だろう。
……ま、いいか。
おかげでめったに見られない少女の泣き顔も拝めたことだし……しかも自分一人だけで。
あんなリタを知っているのは自分だけ、そんな馬鹿な優越感に浸りながら、レイヴンは彼女を抱きあげた。
ウチのリタっちは酔ったら泣き上戸になりました。
結局おっさんはお酒強いんでしょうか? 強いなら強いで素敵だし、弱いなら弱いで萌えですよね!!(ぇ
キリ番&リクありがとうございました!
nezu様のみお持ち帰りください♪
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