レイリタは公式でいいですか? いいですね?(^q^)
しかもこのカレンダー、下の部分に切り取り線があって、切り取ればイラストはそのままに次の月の表示もできるという優れ物!
9月以降のユーリ君とかフレン君とかのイラストがすごく危険です! だれか助けて!!
で、団長は何月にいますか?
続きでお題小説更新。
ED後甘めです。
Raven*Rita 20 title.(La traviata.様提供)
・魔導器
・天才魔導士
・添い寝
・熱帯夜
・忘れられた神殿
・帝国騎士団隊長首席
・大嫌い
・氷刃海
・前夜
・そして、続く未来
・20
・鼓動
・箱庭
・詠唱
・『裏切り者』
・遺されたコンパクト
・触れられない過去
・好き嫌い
・露天風呂の楽しみ方
・カーテンコールを今度こそ
詠唱
使い古したノートを手に取り、懐古の念に浸りながらその表紙をめくる。
いくつもの解析し気が書き連ねられた紙面――そのほとんどが、攻撃用の術式だ。夢中になって多くの形態、属性の術を研究し、習得していたころのもの。もっとも、今となっては無用の産物であるが。
タルカロンの復活によりアスピオが崩壊してしまい、彼女の手元に残った研究資料は本当に少ないものであった。幸い、精霊化に必要なものは直前に持ち出していたし、魔導器を捨てた今となっては残っていたとしても大して役には立たなかっただろう。
そして星喰みの騒ぎも一段落し、残った資料も整理することにして小一時間、現在に至る。
(頑張って戦ってたんだな、あたし……)
多くの魔術を習得し、最終的には世界を守るためにそれで戦い、そして捨てた。今考えてみれば皮肉な事象であるが、後悔はしていない。非力な自分があの戦いに赴くためには、あの方法しかなかったのだから。
文字の羅列を指で追っていると、不意にある一行で目が止まった。数字や記号の並ぶ中、そこには文字が書き込まれている。
「揺らめく焔、猛追――」
もはや何の力も持たないそれは、術を発動させるための詠唱。思いついた中で最もしっくり来たものを、こうやってノートに書き込み採用していたのだ。とはいっても、広く使われている詠唱があればそちらを使っていたので本当に彼女が考案した詠唱は少数であるが。
「へぇ~、リタっち詠唱までしっかりメモってるのねー」
彼女の肩に顎を乗せ、体を密着させてその紙面を覗きこんでくるのは、整理を手伝ってくれていたレイヴンだ。感心するようにそう言いながら彼もまた懐かしそうにその文字列を眺めている。
「あんたの適当な詠唱とは違うのよ」
その言葉、そして体勢に照れ臭くなったリタはパタンとノートを閉じ、彼の頭に軽く息を勢いをつけてぶつける。「これ、処分ね」と関心をなくしたように言を続け、彼が手に取ったのを確認すると身体を離し、新たな書物に手をつける。
「おっさんはインスピレーションを大事にしてるからねー」
「バカっぽーい」
後ろで苦笑しているであろう彼に、そう返す。
ただ、ふざけたような彼の詠唱も、今は懐かしかったりする。好きだったのかと聞かれればいささか抵抗があるが。
「あんな術式を馬鹿にしたような詠唱、あたしは認めないわよ」
術式を愛する彼女らしい発言。後ろでレイヴンが更に苦笑しているのが分かった。
初めて彼と会った時、絶対こいつとは相容れないだろうと感じた。そしてそれに拍車をかけた原因……の一つは、その詠唱である。
「……もっとまともな詠唱だったら……も少し早く振り向いてやれてたかもしれないのに……」
無意識の内にそうこぼれた言葉に、しかしリタ本人は気づいていなかった。
だがレイヴンの耳はしっかりとそれを拾っていたようで――
「…………」
一瞬だけ面食らったような表情をしてから、しばらく黙りこんで何事かを考え始めた。
「……ね、ねぇリタっち……」
「ん? 何よ?」
やがてぎこちなく名を呼ばれた。振り返って尋ねると、レイヴンは少しだけ表情を引きつらせていたが、即座にいつもの――うさんくさい――笑みを浮かべる。
「おっさんのまともな詠唱……聞きたい?」
「ハァ?」
感情のまま思いっきり訝しげな顔をし、声を上げる。
いきなり何を言い出すのかこの男は。もはや詠唱という行為には何の作用もないことなど、彼も十分分かっているはずだ。それとも、お蔵入りした詠唱でも聞かせるつもりなのだろうか。どちらにせよ、何の効力も持たない言葉に対する興味など今のリタは持ち合わせていない。
だが、そんなリタの思考を読み取ったかのようにレイヴンは続ける。
「いやそれがさー、とっておきの詠唱があんのよ。魔術とかじゃないけど。
えっと……おっさんとリタっちが……その、幸せになれる……かもしれない詠唱が、ね」
「?」
ますます訳が分からない。魔術でもないのに詠唱? 幸せになれる? 非現実的で抽象的な説明に眉をひそめる。どうせからかうつもりならもっとマシな言葉を選べ、と言いたいところだが、それにしては様子がおかしい。
「……そこまで言うなら言ってみなさいよ、聞いたげるから」
不信感と好奇心に負け、先を促すと、「うっ」とレイヴンが口ごもる。
「で……でもねー……実はリタっちの協力が必要なのよね、この詠唱」
「訳わかんない。いいから言ってみなさいよ」
自分から振ってきた話を何故か迂回させようとしている彼にいい加減苛ついて来た。本当に何がしたいのか、この男は。
「じゃ……じゃあ言うからね」
すると彼は急に緊張した面持ちになり、咳払いをひとつ。
そしておもむろにその場に跪いてリタと目線を合わせ、懐から小箱を取り出し、開いてみせる――
「……俺と……結婚しよ?」
リタの目の前にあるのは、小さな宝石がついただけの、しかし美しく輝く銀色のリング。そしてその向こうには、まるでいつもの自分のように頬を赤くして、照れ笑いを浮かべている中年の顔。
その表情を見ながら、どうして今何だとか、そもそもこれは詠唱じゃないとか、色々と言いたいことが浮かんでくる。
それでも、自分が口にすべき言葉の優先順位は、ちゃんと分かっていて――
「……はい」
珍しくはにかみながらこっくりとうなずく。
そして、詠唱が完成した――
「それにしても、何でこのタイミングだったのよ?」
「いやー、リタっちの話でおっさん焦っちゃって……」
「?」
一番幸せなのは管理人でした。
ところでヴェスペリアにおける詠唱の定義って何なんですかね?
ぽちっとお願いしますm(_ _)m