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今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)11:37
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2010/01/25 (Mon)02:22
お久しぶりですorz

1か月近くの放置申し訳ありませんでした……。
全てはリアルのせいです。リアルの忙しさのせいです。
あと新春セールで安売りしてたポケモンプラチナのせいです。


さて、お待たせしてしまいましたが15000HITのキリリク、「リタがツンデレでかわいい逆ハーおっさん落ち」です。
初めてメインキャラ全員出しました。活かしきれているかどうかは別ですが。


続きからどうぞー。

あの娘のベクトル

 

 ここ最近、何事かを熱心に研究しているリタ。
 野営となった今日も、夕食が終わると焚き火の明かりを頼りにすぐさま魔導書を広げ、ノートや付箋紙に何かを書き込み始める。
 この様子だとあの娘のことだからあまり寝てないのではないだろうか、とレイヴンは密かに心配していた。

「リタ、こんな薄暗いところで本読んでたら目悪くなりますよ?」
「リタ姐最近本ばかり読んでるのじゃ、たまには休憩した方がいいぞー」
「ワォン」

 ただ心配しているのは彼だけではないようで、リタを挟んで座っていたエステルとパティがそう声をかけている。レイヴンの傍にいたはずのラピードも、わざわざリタの後ろに回り込んで小さく吠える。
「んー……」
 だが当のリタは心ここにあらず。気のない返事をしただけで本を閉じる気配はない。
「もう、リタったら……」
「完全に研究モードに入っておるのー」
 溜息をついた2人が、ほぼ同時にリタの手元に視線を落とす。それは、おそらくそこまでして何を必死に研究しているのかというごく自然な発想からだったのだろうが、何故かそこで2人の動きが止まった。
『………………』
 本に集中しているリタはそれに気付いていないのか、黙々と文字を眼で追っている。目の前の少女3人の沈黙に、レイヴンも興味を引かれる。冷やかしの言葉でもかけに行くついでにその中身を見てやろうと考え、腰を上げようとした。
その時、エステルとパティの視線が上がり、しばらく顔を見合わせてから2人はその場から立ち上がる。
「パティ、もう寝ましょうか。明日も早いですしね」
「うむ、リタ姐の邪魔しても悪いしの」
 どこか楽しげな笑顔でそう言葉を交わし、女性用のテントに戻るべくこちらに歩いてくる2人。
(あー……タイミング逃しちまったわね……)
 浮きかけていた腰をまた下ろし、胸中でそう呟く。そしてそのままリタと、焚き火の脇を迂回してこちらに近づきつつある2人をぼんやりと眺める。
 ふと、パティと目が合った。それと同時に、彼女が小走りになる。
「おっさん♪」
「ん? どしたのパティちゃん」
 にっこりと笑って呼ばれたので、つられて笑い返す。パティはそのままレイヴンに駆け寄って来て――

「ていっ☆」

 軽く明るい掛け声とともに、彼の額に向けて跳び蹴りを放つ。
「ふがっ!?」
 次の瞬間、気がつくとレイヴンは木々の間から覗く夜空を仰いでいた。加減されていたこともあり、身軽な少女の蹴りでは彼に大したダメージはなかったものの、不意打ちにその身体が見事にひっくり返ったのだ。
「あ~、リタ姐は可愛いのー」
 着地を決め、何事もなかったかのように遠ざかっていくパティの足音と独り言と思しき言葉が聞こえる。
「レイヴン」
 状況が分からないまま仰向けになっていると、今度はエステルが顔をのぞきこんできた。
「見張り、よろしくお願いしますね」
 彼女の方は今夜の見張り番である彼に対しての単なる声かけなのか、それだけ言ってパティの後に続く。
「な……何なのよ、一体……」
 とりあえずむっくりと起き上がり、額をさするレイヴン。腑に落ちないパティからの攻撃、その理由を考え始めるが、
(パティちゃんに何かしたっけか?)
思い当たる節は一切ない。まさか反抗期かしら、などと考えながらリタを見ると、相変わらずこちらに気を取られている様子はない。恐るべき集中力だ。ラピードはエステルたちが諦めたのを察したのか、その場に伏せて大きく欠伸をする。それでもリタの方を見続けているところを見ると、まだ気にかけてはいるようだ。
 すると、右隣りからクスリと笑い声がする。ジュディスだ。
「頑張るわね、あの娘。感心しちゃうわ」
 彼女はそう言ってから、リタに向けていた視線をこちらに向けてくる。
「おじさまもそう思うでしょ?」
「そーねぇ……」
 腑に落ちないまま追求は中止。髪の毛についた土を払いながら、彼女の問いに答える。
「ま、リタっちが研究熱心なのはいつものことだしね、すごいな~とは思ってるわよ?
 でもここまでくると、流石に身体が心配になってくるわ」
 そう言ってから「おーい、お子様はもう寝なさーい」とリタに向けて少し声を張ってみるが、やはり彼女の反応はない。
 やれやれと苦笑しながらジュディスを見ると、その赤い双眸がこちらを見据えていた。顔は笑みを浮かべているが、何となく目が鋭い。
「……? ジュディスちゃん、どうかした?」
 またもや理由の分からない女の行動。首をかしげてみせると彼女は笑顔を張り付けたまま、
「そうね、強いて言えば心配……かしら」
「強いて言えば……って……」
 強いて言うようなことではないような気がするが。というか、その心配というのが向けられているのは当然リタのはずなのに、自分に向けられた瞳からは何か別の意図が感じられるような……そうでもないような。

「帰ったぞー」

 その時、レイヴンの左方から水と薪の補充に行っていたユーリ、フレン、カロルが帰ってきた。
「あら、おかえりなさい」
「お疲れさーん」
 ひらひらと手を振って出迎えるジュディスとレイヴン。リタは相変わらず顔を上げるどころか彼らに気付いた様子はない。
「エステリーゼ様とパティは?」
 辺りを見回しながら、フレンが尋ねてくる。
「もう寝ちゃったわよ」
「あ、リタまた研究してるの?」
 レイヴンの返答とカロルの声が重なる。その言葉に反応したのか、フレンとユーリもそちらを振り向く。
「リ、リタ、研究好きなのは知ってるけどちょっとやりすぎじゃない? ちゃんと寝てる?」
 リタの隣にまで駆け寄ったカロルが、恐る恐る声をかけている。かつて何度も研究中の彼女に話しかけたり揺すったりして、「邪魔!!」と殴られたり蹴られたり焼かれたりしたのがトラウマなのだろう。それでも尚、心配のあまりこうやって話しかけているカロルを見ていると何だか微笑ましい。
「そうだよリタ、無理はよくない」
「ぶっ倒れられても困るしな」
 そこへフレンとユーリも加入。
「君はまだ成長期なんだから、睡眠時間はしっかり取らなきゃだめだ」
「明日には多分街につく、2~3日は滞在する予定だからそん時やりゃあいいだろ」
 カロルと同様、リタの傍らまで寄って休憩を促す。しかしリタの反応は案の定――
「んー……」
 予期していたデジャヴに、レイヴンは思わず苦笑する。
 見ている限り、今夜の彼女は手強い。研究が大詰めなのか、外部のシャットアウトが徹底している。普段だと「うるさい」とか「邪魔すんな」程度の言葉なら返してくるはずなのに、それすら今日はない。大親友のエステルからの呼びかけに対しても、あの反応である。
「リーター」
「僕達は心配して言っているんだよ?」
「んまぁ無理だろうとは思ってたが……おいリター、エステルたちは寝ちまったってよ」
 それでも何とかリタの気を引こうと、依然呼びかけを続ける3人。その様子を見て、レイヴンは今度は笑い声を上げる。
「はっはは……愛されてるねぇ~、天才魔導少女は」
「そうね」
 笑顔のジュディスが相槌を打ってくる。そして、リタを見つめたままゆっくりと再度口を開く。

「みんなにとって、あの娘は大切な存在だから……だからあの娘も、人を大切にすることができるようになったの。
 あの娘の研究は、もう自分自身のためじゃない。大切な人のための、大切な研究」

 まるで誰かに言い聞かせているかのように、穏やかながらもはっきりとした口調だった。
「あの娘の頑張り、独り占めできる人は幸せ者ね」
 最後にジュディスが口にした言葉……それに、レイヴンは素直に同意する。
「確かに、みんなリタっちのことが大好きだもんねー。そん中でも特に大切にしてもらえるとしたら、光栄以外の何モンでもないわ。流石のおっさんも羨ましいかも……」
「……そうね」
大切な人が出来るというのは誰にとっても自然なこと。そしてその相手のために必死になる姿は可愛らしいものだ。しかし第三者ながらもその相手に思いを馳せるのは、ひょっとしたら少しの羨望と嫉妬のせいもあるのかもしれない。自分には、そういったことがなかったから……。
「いやー、青春だねぇ」
 茶化すような言葉を吐いて、すぐに沈みかけた自分自身を誤魔化す。
「なーにが青春だよ」
 いつの間にか、ユーリが隣に立ってジト目でこちらを見下ろしてきていた。
「およ? どしたの青年、リタっちの説得諦めた?」
 彼を見上げてから、もう一度リタの方を見ると、カロルとフレンも引き上げている様子だった。そして再びユーリを見、苦笑する。
「ま、スイッチ完全に入っちまってるし、仕方ないか」
 それを聞いたユーリは相変わらずの半眼で、ため息をひとつ吐いてから――
「……おっさん、一発殴らせろ」
「は? ってへぶらっ!!」
 バキっと嫌な音がして、頬に衝撃、やや遅れて痛みが走る。そして気がつくとレイヴンは木々の間から覗く夜空を――
(あれ? またデジャヴ?)
 ただ先ほどのパティのものほど甘い一撃ではなく、殴られた箇所が痛い。結構痛い。
「さーてと、じゃあ俺らもそろそろ寝るとすっかな」
 ポカンと呆けているレイヴンの視界の中で伸びをしてから、ユーリが先ほどエステル達が入っていったテントの隣にある男性用のテントに向かって歩き出す。
「そうだね」
 そしてカロルがその後に続く足音が迫って来て――
「ぶへ!?」
レイヴンの腹を踏んづけていった。気付いていない訳がない、明らかに意図的にである。
「……カ……カロル君まで……何よ……何なのよ?」
「だ、大丈夫ですか? レイヴンさん……」
 いつも優しかったはずの少年にまで虐げられ、レイヴンの脳は完全に混乱状態に陥っていた。そんな彼にようやく労わるような言葉を掛けてくれたのはフレンだった。
「いや……大丈夫っちゃあ大丈夫なんだけど……実はさっきもパティちゃんに蹴られたばっかで……おっさん、何か悪いことしたっけ?」
 差し出された彼の手を支えに起き上がりながら尋ねてみると、フレンは困ったように笑いながら首を振る。
「い、いえ……レイヴンさんが悪い訳ではないと……思います……よ? 多分……」
 だが、語尾がこれ以上ないくらい心もとないのはこれ如何に。
「多分って……」
「おーいフレン、明日も早いんだから早く寝るぞー!」
 追究しようとしたレイヴンの声を遮るように、後方からユーリの声が飛んでくる。
 急かすような呼び声にフレンは「分かった、今行く」と答え、再び苦笑をレイヴンにむける。
「……それではレイヴンさん、見張りよろしくお願いします」
「え、ちょ――」
 礼儀よく一礼した彼は、レイヴンが止めようとする前に颯爽と去ってしまった。
(え? 何これいじめ?)
 もう本当に訳が分からなくなり縋るような気持ちでジュディスを振り向けば、彼女もテントに戻るべく立ち上がるところだった。
「あ……ジュディスちゃんも寝ちゃうの?」
「ええ、リタが少し気がかりだけど何かあったらラピードもいるからと思って。……いけないかしら?」
「いや……別に……」
 パーティの大半がテントに戻ったこの状況で、うら若き乙女だけを引きとめる訳にも行かず大人しくその背中を見送るレイヴン。
(う~……愚痴る相手がいない……)
 残ったのは外界の干渉を遮断中の天才魔導少女と、起きているのか寝ているのかその向こう側で伏せっている聡明な犬のみ。残念ながら、どちらからもこの状況に対する解答は望めそうにない。
「あ、そうそう、さっきの話の続きだけれど――」
 重い気持ちでレイヴンが嘆息したその時、ジュディスの足音が止まったので振り返ってみる。
 テントの入り口に手を掛けていた彼女の方もこちらを振り返って来ていて、レイヴンと目が合うとまたにっこりと笑い、

「あの娘を独り占めする人には、それなりの覚悟を持ってもらわなきゃ、ね?」

それだけ言って、すぐにテントの中へと入ってしまった。
「……う……う、ん……?」
 色々と腑に落ちないことばかりですっかり頭の回転が鈍っていたレイヴンがようやく返した返事は、おそらく彼女には届いていないだろう。

 


「ワンッ!」
 やるせない気持ちと暇を紛らわせるため、武器の手入れに没頭していたレイヴンはラピードの鳴き声で我に返った。
 一瞬魔物かと思ったが、あの鳴き方は警戒を促すようなものではないし周囲にもそんな気配は感じられない。
 顔を上げると、ラピードが起き上がってリタの腕を鼻先でつついていた。そして当のリタは、本を膝の上に広げたままこっくりこっくりと舟を漕いでいる。
「あ~らら~」
 微笑ましいその光景に思わず口元をほころばせながら、自分も立ちあがって彼女の元に歩み寄る。
「リタっち、こんなところで寝てたら風邪ひくわよー」
 しゃがみこんでその肩を揺すると、リタはむにゃむにゃ言いながらもゆっくりと意識を浮上させてきているようだ。
 ……そこで、彼の視界にリタが呼んでいる本の紙面――に貼り付けられた付箋紙が映ったのは、まったくの偶然であった。

〝おっさんの身体に負担がかかる原因″

「……ん……?」
 身に覚えのありすぎる単語の羅列につい反応してしまう。それから他の付箋紙に目を走らせると、〝おっさんの心臓の構造″〝おっさんの心臓の基礎術式″〝武醒魔導器使用時の心臓への影響″等々、似たような単語がいくつも書き込まれていた。

 誰に向けられた訳でもない筈の笑顔が、何故か引きつる。

「ん……あれ、おっさん……?」
 その時、やっとリタが覚醒した。
 彼女はレイヴンを見上げて、しかし反応がないことに首をかしげる。だがすぐにその視線の先に気付き、慌てたように本を閉じた。
「って何見てんのよバカぁっ!!」
「ぎゃふん!!」
 そのままその分厚い本を両手で思いっきり振り回し、彼の顔に叩きつける。
 本日3度目――いや、4度目か――の不意打ちも見事に喰らったレイヴンは、勢いよく地面に倒れ伏す。
「あ、ああたしっ! もう寝るから!!」
 怒鳴るようにそう言い残し、リタが身を翻す。その顔は、暖色の光を放つ焚き火に照らされていてもはっきりと分かるぐらい、真っ赤になっていた。

「………………うそん」

 地に伏したままその背中を眺めながら、レイヴンはほとんど息だけの声で呟く。
(……あれじゃあまるで――)
 その時、駆け出していたリタがふと足を止め、何事か考えるかのようにその場に立ち尽くし、しばらくしてまたこちらに戻ってきた。
(あ……トドメ刺しに来た?)
 現実逃避にも似たその発想は、赤い顔のままのリタが近付いてくるにつれてだんだんと現実味を失っていく。
(だって、あんな照れたような表情でぶん殴ってくる奴いないっしょ……)
 自問自答している内に、いよいよリタが目の前に迫ってきた。
「……おっさん……」
「はひっ!」
 呼ばれた瞬間身体が跳ね、その場に正座する。
 ただリタの顔を正面から見上げるのは気まずくて、視線は膝の上で握りしめた拳を注視……あ、でもこれぶん殴られるとしたら後頭部だ。

「……明日、宿で時間取れたら……診るからね、心臓魔導器」

 だが頭上から降ってきたのは、本でも拳でもなく、恥ずかしそうな、照れたような声。
「え、リタっ――」
「それだけ! おやすみ!!」
 そしてレイヴンが顔を上げた時にはもう、彼女はまたテントに向かって走り出し、逃げ込むようにその中へ消えていった。
「………………」
「ワフゥ」
 呆然と座ったままのレイヴンの隣で、ラピードが欠伸をする。それから彼はレイヴンを一瞥すると、先ほどより焚き火に近づいたところまで移動し、身体を丸めた。

「……あー……マジでか……」

 数十秒間その場で固まっていたレイヴンは、やがて大きく息をついて頭を抱えた。気がつくと、焚き火からは離れているはずなのに顔が熱い。
 思い起こしてみれば、思い当たる節はいくらでもあった。特に、この数時間の仲間たちの言動、そして、自分の心情……。

 ……ああ、道理で――

「……ニブすぎるっしょ、俺様……」
 再度嘆息して、思い出したのはジュディスの言葉。

――あの娘を独り占めする人には、それなりの覚悟を持ってもらわなきゃ、ね?――

「……努力します……」
 脳裏に浮かんだ優しくも鋭い目で微笑んでいる美女に、彼は弱々しくそう答えた。














相手の気持ちどころか自覚も鈍すぎるおっさんだったら萌えるって話でした(ぇ
リタっちのツンデレ要素が少なかったらすみません……。

ちなみにリク主のGONN様からはありがたいことに「各キャラから見たリタ」というのも頂いていて、参考にさせていただきました。
活かしきれているかどうかは別ですが。

リクエストありがとうございました!!
GONN様のみお持ち帰り可でございますー。

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