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今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)10:24
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2011/09/21 (Wed)20:08
そしてさも当然のようにアルエリ小説を上げる管理人であった。

だいぶネタバレと捏造入ってます。

 リーゼ・マクシアとエレンピオスの往来が可能になってから、その後が気になって1度立ち寄ったハ・ミル。奇跡的に難を逃れた村人からの依頼を発端に復興のための活動が盛んになりつつあったこの村の為に、一行も度々物資の運搬などを手伝っていた。
 今日もル・ロンドで聞いたドードリアの調理方法をロランに伝えたところで1日の終わりの時間を迎え、一行はそのまま村に滞在することになったのだが、今や空き家になっているものの勝手に村長の家を利用するのも気が引けたのでエリーゼが監禁されていたあの物置小屋を寝床として使うことにした。
 ジュードが作った夕食のマーボーカレーに舌鼓を打ち、明日の行動について軽く話し合いをした後、男性陣は地下の部屋(ミラがまたパレンジの果実酒に手を出さないようこの部屋割となった)へと降りて行き、1階に残った女性陣も早々に眠りについた。
 しかし、この中で誰よりも朝日が差し込むこの暁域や小屋に慣れているはずのエリーゼはなかなか寝付けなかった。
 しばらくはドロッセルの屋敷や、旅先での寝起きが多かった為だろうか、部屋は違うとはいえ久々に戻ってきたこの監禁場所で横になっていると、どうしてもあの頃のことが脳裏に浮かんでしまう。
 ミラとレイアが譲ってくれたベッドの上で何度も寝返りを打ち、たまに小声でティポと当時の思い出を語ったりしながら、彼女は落ち着かない夜を過ごしていた。
 だがそうしている内に感傷より旅の疲れが勝ってきたようで、瞼がだんだんと重くなるのを感じ始めた。最後にもう1度寝返りを打って、エリーゼは眼を閉じゆっくりと意識を落としていく――
 その時、地下の扉が開く音がし、続いて階段を上る足音が鳴り始めた。
 せっかくの就眠を妨げられたことに若干苛立ちはしたものの、完全に覚醒するのも億劫なところまで来ていた為エリーゼはそのまま狸寝入りを決め込んだ。
 ただ、足音の主がベッドのそばを通り過ぎ、小屋の外へ出ようとドアを開けたところで一体誰だろうと好奇心が湧き、薄目を開けて姿を確認してみる。
(アルヴィン……?)
 すっと起きていたのか、あるいは着直したのか、いつものコートを纏った彼はエリーゼに気付いた様子もなくそのまま小屋の外へと出て行った。
「また暗い顔だったねぇ~」
「はい……」
 一瞬見えた横顔は先日トリグラフで話した時に似た、何か思いつめたような顔だった。その印象をティポが先に言葉にし、エリーゼはこくりと頷く。
 薄目どころか完全に開いた目は、彼が出て行ったドアをじっと見つめている。ようやくやってきた眠気はまだ残っていたが、何故かアルヴィンのことが気になってしょうがない。
「……心配、です」
「ふみゅむぅ……眠いけど、アルヴィンを1人にしといたら色々と不安だもんねぇ」
「追いかけてみましょう」
 未だ誘ってくる眠気を振り切り、エリーゼはベッドから身を起こした。そしてティポを抱きしめ、ミラやレイアを起こさないように足音を忍ばせながらドアへと向かう。
 外に出て、アルヴィンの姿を探す。彼が出て行ってからそう時間はたっていないのであまり遠くには行っていない筈だ。
「あ……」
 視界の端で何かが動く。背の高いパレンジの木に組まれた足場、その上で朝日に照らされた人影が丁度座り込んでいるところだった。

 

 パレンジの木に背を預け暁色の風景をぼんやりと眺めていたアルヴィンは、誰かが梯子を上ってくる音で我に帰った。一応夜の時間帯とはいえ明るさが明るさだ、村人が作業でもしに来たのだろうかと思い、下を覗きこんで見る。
「エリーゼ……!?」
 すると、梯子の半分を過ぎたところまで上っているエリーゼと目が合った。彼女の周りを、ティポがふよふよと飛んでいる。
 少々意外な人物に驚きながらも、アルヴィンはそれきり黙って彼女を見守った。必死の形相で相当な高さの梯子を上っている少女に今下手に声をかけたら、うっかり落ちてしまいそうだったからだ。というか、既に何度か片足を踏み外したりしており非常に危なっかしい。
 冷や冷やしながらエリーゼを待ち、残り1、2段程まで上ってきた所で彼女の手を握り一気に引っ張り上げる。
「ほらよ、っと」
「きゃっ!」
 思わず声を漏らしたエリーゼを抱き留め、手すりがある方へ彼女を向かせてから身体を離すと、一緒に登ってきたティポがすぐさまその腕の中に収まった。
「エリーゼ頑張ったねぇ。アルヴィンもお疲れ♪」
「まったく……お姫様にはきつい運動だったろ、無茶すんなっつーの。
 目の前でお姫様に何かあったら、俺今度こそやべぇんだから」
「アルヴィンは、いつでも見限られる可能性ありますもんね」
「自業自得ぅ~」
「……おたく、俺にだけはティポ通さなくても毒舌だよな」
 エリーゼとティポの言葉を苦々しく受け止めながら、アルヴィンは言い返す言葉もなく再度その場に座り込んだ。
 エリーゼも隣に回って腰を下ろし、少し心配そうに彼の顔を見上げる。
「アルヴィン、眠れないんですか?」
「ん、まあな。悪かった、起しちまって」
「いいんです。わたしも、眠れなかったから」
「そうか」
 アルヴィンはそのまま黙りこんで、何処か遠くを見つめる。淡い色の朝日に陰影を照らされたその横顔がやはりどこか思いつめたような表情に見えてしまって、エリーゼは少し迷いながらも話しかけた。
「アルヴィン、何か悩んでいるんですか?」
「ぼくでよかったら聞くよ、友達だからね」
 するとアルヴィンの顔がこちらを向き、目を細めて尋ねられる。
「……俺、そんな愁いを帯びた顔してる?」
「よく分からないです、けど、なんだか寂しそうです……」
「だからエリーゼはわざわざこんなところまで付いて来たんだよ」
 おずおずと答えたエリーゼと自慢げに言うティポに彼は苦笑を浮かべ、「ありがとな」と言ってまたエリーゼの頭を撫でた。エリーゼが恥ずかしそうにうつむくと、その手を止めて再び視線を風景に戻す。

「こっちの世界も、なかなかキレーだと思ってな」

 呟くように紡がれた言葉の真意が分からず、エリーゼは首を傾げた。
「……今までは、キレイじゃなかった、ですか?」
「そりゃま、エレンピオスにはなかった自然の風景なんかは綺麗だと思ったことはあったけどな。
 ……でも、ここは俺の世界じゃない、早く故郷に帰りたいってずっと思ってたから……なんつーか、この世界では何も感じられなかったってのが1番正しいな」
 幼い日に突然、人の文化も能力も全く異なるリーゼ・マクシアに放り出され、いつか母親と一緒にエレンピオスに帰ることだけを目的に生きてきた。だから、こちらの世界の何もかもは自分にとって虚構同然で――

「風景も、物も、国も、人も……全部が全部嘘っぱち、俺には関係ないモンだと思って何も感じてなかったんだ。エレンピオスに帰る為に利用はしたが、だからってそれに感謝も罪悪感も持ったことはなかった。ここは、俺のいたい世界じゃなかったから」

 詰まりながらもはっきりと語られる告白に、エリーゼの胸が締め付けられる。
「……それで、アルヴィンはウソつきになったんですか?」
「……そうだな。何度も平気で人を裏切って、傷付けてきたのは、そいつらにも何も感じてなかったからだろうな」
「わたし達にも……?」
「え?」
 エリーゼの声が震えていることに気付き、アルヴィンは思わず彼女を見やる。
 エリーゼは泣いていた。新緑の大きな瞳からぽろぽろと涙を零し、きつくティポを抱きしめながら、それでも真っ直ぐにアルヴィンを見上げてきていた。
「……わたし達にも、何も、感じてなかったんですか?」
「ティポを取り戻してくれたり、ファイザバードで励ましてくれたのもウソだったの……?」
 心の底では信じていた部分も、結局は嘘だったのだろうか。

「アルヴィンはウソつきです。それでも、一緒に旅して、楽しかったこともありました……。
 アルヴィンにとっては、わたしの楽しい気持ちも、偽物……なんですか?」

 楽しいと感じていたのは自分だけで、アルヴィンは何も感じていなかったのだろうか。そう思うと何故かとても悲しくて、涙が止まらなかった。
「……あー」
 気まずそうに頭を掻き、アルヴィンは少しの間考えた末エリーゼの頭を抱え自分の胸元へと抱き寄せた。
「泣くなってお姫様、可愛い顔が台無しだぜ」
「泣かしたのはアルヴィンだー!」
 否定できない返答にとりあえずため息をひとつ吐き、彼はその頭をぽんぽんと叩きながら続ける。
「正直、ここ最近のことはな、俺自身にもよく分かんねぇんだ。おたくらのことは利用価値のある連中としか思ってなかった筈なのに、本気でティポを取り返したり、ジュード君を庇ったり……今までならやんなかったよーなことに自分で首を傾げるぐらいだよ。今となってはそれが本物の気持ちだったのかもしれねぇとは思うけど、断言するほど自信は持てない。
 ……でもな、エリーゼ達のことも、エリーゼ達が生きてるこの世界のことも、今はちゃんと本物だって思ってるぜ。それだけは間違いない」
 自分が生きてきたリーゼ・マクシアでの日々は忘れられる訳もなく、確かに過ごしてきた20年は現実で……。それを実感したのは、皮肉にも念願のエレンピオスの地を踏んでからだった。破滅の道を歩みつつある故郷と、未だ活力に満ち溢れた自分にとって虚構だったはずの世界。いつの間にか、どちらも〝自分の世界″になっていたようだ。

「いつか、こっちの世界も好きになれたらいいなとか、柄にもねぇこと考えてるよ」

 そう本音を漏らすと、エリーゼは顔を上げた。目は少し潤んでいるが、話を聞く内に収まってきたようだ。
「ホント、ですか?」
「ああ」
「ホントのホントですか?」
「またウソじゃないの~?」
「嘘じゃねぇって」
「じゃあ――」
 手の光で残った涙をぬぐい、彼女はふわりと微笑む。

「きっと、好きになれますよ」
「エリーゼもハ・ミルが好きだもんね♪」

 本当の故郷ではないけれど、辛い思い出の方が多いけれど、それでもエリーゼはこの村が好きだった。いや、実際好きとまでは言えないかもしれないが、それでも大切な場所であることに変わりはない。
「だから、アルヴィンもきっと、リーゼ・マクシアを好きになれます」
「……ああ、そうだな」
 やけに自信満々なエリーゼの言葉に、それでもアルヴィンは頷いた。
 今度こそは嘘にしないようにしないとな、と目の前の笑顔に誓いながら。

 

「まったく、どうしてこんな子供に何度も何度も励まされちまうのかね」
 2人並んで村や山の景色を眺めている内にいつの間にか眠ってしまったエリーゼにコートをかけてやりながら、アルヴィンは自嘲する。
 何度も裏切った自分に対して、ウソつき扱いはしているものの気を遣ってくれているのはつくづく感じていた。ヘリオボーグ然り、トリグラフ然り、不器用だったはずのずっと年下の少女ににああも気を遣われると自分が情けなくなってくる。
(ま、気を遣われて情けないって思える程度には成長したってことで……)
 一昔前なら気を遣われてもそれを利用するだけだっただろうし、と客観的に結論を下して、無防備に眠るエリーゼの頭をまた撫でる。
 その途中でふと手を止め、思いついたままに彼女の前髪をかき分けそこに顔を寄せた。

「お返し、な」

 唇が額に触れたのを感じると、すぐに顔を離して前髪を戻してやる。
 途端に年甲斐もなく顔が熱くなるのを自覚しながら、アルヴィンはエリーゼの隣に座り直した。
(あーあ、何やってんだか俺……)
 流石にこの高さ、眠った少女を担いで梯子を下りる訳にもいかないので一晩はここで明かさねばなるまい。なのになぜこんな気恥かしい思いを自ら招いてしまったのかと、つい数秒前の自分を呪う。
 そんな彼の思いを知る筈もなく、さらにエリーゼが肩によりかかってきてしまった。
(……勘弁してくれ)
 俺にそんな趣味はない筈だ、と一人自分に言い聞かせてみるが、顔の熱はしばらく冷めてくれそうにない。万が一誰かに目撃されても、顔が赤いのは暁に染まっているからだと思われますように、と切実に祈りながら、悩める青年は深く深くため息をついた。

 

 

君に出会えたこの世界を誇りに思う

いつかそう告げる言葉を、彼も彼女もまだ知らない。














管理人なりにアルヴィンが屑な理由を考えたら、まんまハガレン(初期)の劇場版のエドになりました。

ところで本編でアルヴィンが姫様にちうするイベントはどこで見られますか(^q^)

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