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今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)10:24
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2011/10/16 (Sun)15:53
やっぱり管理人は舞茸閣下が好きです。


※注意

・PTイン。

・若干ユーリ君をdisってる。

・何かもうアレレイでいいや。

・多分「記憶の彼方の言の葉と」と同じパラレル世界。



そんな感じでどうぞ。

 嫌よ嫌よでやっぱり嫌い


 本来朝ってのは爽やかで清々しいモンだろう。
 それがどうして、こんな吐き気と頭痛を催す光景によってぶち壊される羽目になったのか……。

 そもそもの発端は前回の野宿にまで遡る。毎度、夜の見張りは野郎で交代することになっていたのだが、その時はアレクセイを一番手に置いていた。
 だが、2時間出番が回ってくるはずだったフレンが目を覚ましたのは、陽が昇ってから。慌ててテントの外に出て見れば前日の夜から動かないまま、アレクセイが控えていたらしい。
 一睡もせず、次の見張り番を起こしもせず、彼はただじっと1人で朝まで過ごしていたのだ。
「寝ずの番ぐらいさせてくれ。君達には休んでいて欲しいだけだ」
 事も無げにアレクセイはそう弁明したが、それで良しとする人間はこの仲間の中にはいなかった。例え、彼がかつて多くの命を利用し、苦しめ、挙句の果てには太古の災厄を復活させてしまった人間だとしても、今の彼は仲間の一員なのだ。

 それを踏まえて、今回はアレクセイを1番最後の順番においた訳だが……どうやら今回もそんな仲間たちの思いを省みずやらかしてくれたらしい。
 目の前にごろごろと転がっているのは、切り刻まれた肉塊となった魔物達。胴を切断されたもの、首を斬り落とされたもの、とにかく無残としか言いようのない姿を晒している。朝からこんなスプラッタなものを目撃してしまったことに少なからずげんなりするが、他の仲間(特に女性陣)に見せるよりはましか、と思い直す。

「おはよう、ローウェル君」

 そしてその手前、腰かけとして調達してきた丸太にアレクセイは座っていた。
 食事も急速もちゃんと取らせているのに日に日にやつれて行く頬と濃くなっていく隈。声にも眼光にもかつての強い意志や精気もなく、呟くような挨拶を口にした彼の銀髪や頬には、魔物のものと思われる返り血がこびりついている。おそらくその紅い衣も多少の血は吸っているだろう。
「呑気に挨拶できる状況じゃねぇな……何があったんだ?」
 こめかみを押さえながらそう尋ねてみるが、正直大方の事情は察しがつく。
「野営を狙って魔物達が襲ってきたから退治した。それだけだ」
 案の定、予想通りの事情だったようだ。しかしそう答えてふいと目を背けるアレクセイの様子に、ユーリの頭痛が増す。
「何で誰も起こさなかった」
「私1人で十分な敵だった。わざわざ君たちの睡眠を妨げる必要もない」
「やられたらどうすんだよ」
「ラピードは気付いていたようだ。私がやられても君達に危険が迫る前に知らせていただろう」
「そうじゃねぇ。1人で無理して倒れたりしたらあんた自身はどうすんのかって聞いたんだ」
「別にどうもしない。元々ある筈のない命だ……君達も、私など捨ておけばいい」
 ユーリの表情がだんだんと苦いものになっていくのに対して、アレクセイは無表情から変わらず、ただ淡々とした応酬を繰り返す。
 いつもこうだ。仲間の利益を口実に、他の誰よりも自身の生を許していないこの男は自分を容易く棒に振る。そもそも、自分のことを凛々の明星の仲間として認識などしていない。彼の中にあるのはただの優先順位――すなわち、凛々の明星が優先で自分は捨て駒という関係だけ。
 そう、10年前からこの間まで彼を取り巻いていた人間関係と、立場は逆だが本質は同じなのだ。
「……君が起きてきてくれて助かった。死骸を始末してくる」
 ユーリが黙っている間に立ち上がったアレクセイは、ロープを持って魔物の躯に歩み寄り運びやすいよう1つにまとめると、ついでに身を清めてくるつもりなのだろう、それを引きずって近くにある小川の方へと歩き始める。
 ザウデの1件から生還し、何故生かした、殺してくれ、と何度も狂ったように懇願していた時期に比べれば、これでも精神的には回復していると言えるのだろう。だが――

「捨ておける訳、ねぇだろ……」

 拳を握りしめて呻いたユーリに反応するかのように、アレクセイが歩みを止めた。
「あんたが倒れたら心配する連中がいるんだ。そいつらのことも考えろ」
 この男は、もっと知るべきなのだ。自分が決して独りではないことを。捨て駒としてではなく、人間として、凛々の明星が受け入れていることを。
「私が死ねば、喜ぶ人間の方が多い」
「それがどう――!!」
 卑屈な返事にユーリは言い返そうとして、しかし振り向いたアレクセイの表情に思わず言葉を止めた。

「君も、そうやって切り捨ててきたのだろう? ラゴウも、キュモールも、私も」

 三日月のように吊り上がった唇と見開かれた瞳から感じられるのは、御剣の階梯やザウデで対峙した時に彼が纏っていたのとはまた別の狂気。
 その狂気に、そしてその言葉に、ユーリは反論する言葉を失った。
「今の私は事切れるのを待つばかりの身だ。動かなくなるまではせいぜい使える踏み台になろう……情など無用だ」
 何が可笑しいのか、喉の奥でくつくつと笑いながら彼は言葉を続けた。
 ぷっつん――ああ、堪忍袋の緒が切れる音というのはこういう音なのか。

 

「ふっざけんなよ、あの野郎ぉ……!」

 並々と注がれていた酒を一気に煽り、空になったグラスをテーブルに叩きつけながらユーリがもう何度目にもなる唸り声を上げる。
「不貞腐れんのもいい加減にしろっての! したくもねぇ気遣いしてるこっちの身にもなりやがれ!!」
 彼が珍しく出来上がっているのは、無論アレクセイが原因である。
 何においても自分が最下位というこちらからすれば不愉快極まりない優先順位を徹底し、どうにかうまくやっていこうとしている凛々の明星をはじめとする一向に対しては共に行動しながら遥か遠い場所に身を置いている。
 思いの外それに苛立っていたユーリだが、今朝のやり取りで遂にその苛立ちも限界を迎えたらしい。
「まあまあ青年、気持ちは分かるけど悪酔いは良くないわよ?」
「るっせ、おっさんには言われたくねぇ」
 いつもなら自分の方が酔っ払い、ユーリに付き合ってもらっている立場のレイヴンが、今日は付添人の役だった。というか、酒の量自体はいつもとさほど変わらない。ただ、日中に到着した街の酒場で今朝の一部始終と愚痴と悪態を口にしながら、普段飲んでも顔色一つ変えないユーリが目の前でこうも悪酔いしているとすっかり酔いも冷めてしまう。

「そんなに気に喰わないならまたぶん殴って喝でも入れりゃいいじゃない。おっさんの時みたいに」
「それ今朝やった」
「あ、そ……」

 ということは大した結果は得られなかったのだろう。ユーリに大人しく殴られて、怒鳴られて、それでも「気が済むまで殴ればいい」と虚ろな目で返すアレクセイの姿がありありと目に浮かぶ。
 確かに、一時期に比べればアレクセイの精神状態は良くなっては来ている。しかしまだ彼は強く望んでいる、2度目の死を。だから平気で自らを追い込むし、1度自分を叩き斬った人間をまたこうして怒らせるのだ。しかもそれが彼の中では贖罪の意味も含んでいるからますます性質が悪い。
(だけど根底にあるのは、もっと単純な理由なんよね)
 次の酒を店員に注文しているユーリを眺めながら、レイヴンは苦笑した。
 ザウデ不落宮の巨大魔核がアレクセイの頭上に落下する直前、ラリアットをかます形で彼を救ったのは他ならぬレイヴンである。アレクセイの延命、そして凛々の明星への動向を嘆願したのも、毎日のように自殺を図るアレクセイを止めていたのも。
 勿論、今でもアレクセイには何かと話しかけているし、心身の心配も決してなくなってはいない。しかし、今はどちらかというと楽観視している状況であった。
「なあ、おっさん」
「ん、何?」
 呑み始めた頃に比べて随分と目が据わってきた(次の酒で最後にさせよう)ユーリに呼ばれて、レイヴンは思考を中断する。

「……俺、アイツ嫌いだ」
「うん知ってる」

 誰もが知っているその感情を改めて吐露するユーリに、レイヴンは即答した。

 

 完全に酔い潰れてしまったユーリを宿まで連れて帰り、アレクセイがいないことに気がついた。……まあ、彼が独りでふらりとどこかに行ってしまうのは今に始まったことではないが。
 未だに仲間の輪の中に入れない――否、入ろうとしない彼は、仲間と顔を合わせる時間を必要最小限に留めようとする。特に、こうして街に滞在している時などは夕食だけ手早く済ませてさっさと席を立ち、皆が寝静まったころに帰ってくるようにしているようで、下手をすると朝まで宿に帰らないこともある。
 当然エステルなどはそれを気にかけてはいるのだが、まず第一に本人が取り合ってくれないので強い行動に出ることはなかった。

(まーたあんなところで……)
 そんなアレクセイがいるのは、決まって海の見える場所、あるいは海がある方角の見晴らしの良い場所だった。
 今日の街は海に面してはいないものの、高台に登れば数里先に青い水面が広がっているのが見える。ただし、今は夜。結界の光輪が邪魔をして海どころか街の外の様子も見えない。それでもアレクセイはそこにいた。遠い目で、海の方角を眺めながら。
 足音を消している訳でもないのに、レイヴンが近寄っても彼が振り返る気配はない。……おそらく、誰に対してもそうなのだろう。相手が仲間でも、暗殺者でも。
「たーいしょ、こんなところで何してんの」
 声をかけても身動き一つしない。
「……何も」
 応えた声は張りのない、今にも消え入りそうな、ただ事実のみを告げるもの。
 何もしていない。ただ無への憧れを抱いて自分の罪の結晶が鎮座する方向の虚空を見つめ、生きているだけ。そう、まるで一昔前の自分と同じ。
 じくりと心臓が痛むような感覚を覚えながら、レイヴンはアレクセイの隣に立ち彼が手をかけている欄干に背中を向けてもたれかかる。
「あんまり青年怒らせないでよ、今日大変だったんだから」
「………………」
 返事がないということは、改善する気はないということか。大層な虚構で言葉を飾ることは出来ても、出来ない約束も単純な嘘も嫌う男だ。
 しばらく、そのだんまりに付き合ってみる。ユーリのことについて考えてくれているのか、はたまた既に虚空を眺める作業に戻っているのか窺い知ることは出来ないが、闇雲に言葉をかけても意味がないことはレイヴンも身を以てい知っている。
「レイヴン」
「はいはい?」
 そうしていると思い出したようにアレクセイが口を開いた。少し驚きながらもいつもの調子で先を促すと、彼は少しばかりの沈黙を挟んでから、言った。

「……私は、彼が嫌いだ」
「うん知ってる」

 件の青年とまったく同じ言葉に、レイヴンも全く同じ言葉を即座に返す。
 アレクセイとてそれが想定外の反応ではなかったのだろう、相変わらず虚ろな目をしながら、落ち着き払った声で言葉を続ける。
「彼の行動は独善的で主観的だ。ラゴウやキュモールは人々の害悪だと斬り捨てておきながら、世界の毒と呼ばれたエステリーゼ様に関しては力を抑制させる訳でもなく全力で守り、生かしてきた。
 挙句の果てには世界の為にエステリーゼ様を消そうとするフェローを糾弾したと言うではないか、自分も独断で裁きを下しておきながら」
 聖核の精霊化が始まった今となってはその判断が正解だったことは言うまでもないが、それは当時何か策があってのことではない。傍から見れば単なる身内擁護としか見えない行為だろう。
 だが、それは――

「そうね、まったくもって大将そっくり」
「………………」

 お互い、どこか自分と似ている相手を嫌い合っている。そんな子供のような理由でこの2人はいつまで経っても歩み寄ろうとしない。すなわち同族嫌悪、その一言に尽きる。
「だから青年をわざと怒らせて、あわよくば叩っ斬ってもらおうとしてるんでしょ? 青年も大将のこと大嫌いだっての知ってるから」
「……そこまで分かっていて何故傍観者を決め込む――いや、分かっているからこそ、か」
 レイヴンの言葉に最初は問いを発そうとしたアレクセイだったが、途中で納得したのか言葉を完結させる。
 そう、2人の不仲の根本にあるものこそ、この子供じみた感情なのだ。
「青年だってホントは気付いてんのよ、だから大将の望みなんて叶えてやんない。確かに何度も叩き斬りたくなったことはあるだろうけど、そうなるように大将がわざわざ仕向けてるのが癪なんでしょうよ」
 だからレイヴンは、ユーリが本当にアレクセイを死に至らしめることはない、そう判断した。第一、いい年してガキの喧嘩を展開する2人の間に入るのもなかなか馬鹿らしい。
 我ながら呑気なものだと思うが、決してあの時のような無関心という訳でもない。
「……でも、さ。俺が本当に心配なのは、大将がこのまま孤立していくこと。このままじゃ大将、困った時にだれにも助けてもらえねーわよ?」
「……私に、助けなど不要だ」
「まーたそんなこと言って。いいじゃないの、せっかく繋いだ命なんだから、これからはも少し楽しい人生歩むことも考えてみましょーよ」
 孤独になりたがる心情も、自分を追い詰めようとする心情も、レイヴンには理解できる……ひょっとしたら理解したつもりになっているだけかもしれないが。しかしレイヴンは、アレクセイが立ち直ってくれる可能性を信じている。その時に、彼に孤独は似合わない。
「確かに、世界の全員を敵に回したあんたに今更友達作れって言うのも酷なことかも知んないけどね。でも、今手を差し伸べてくれる連中の思いに応えてやるくらいなら、罰はあたらねぇ筈よ。
 何より、大将は一匹狼キャラって柄じゃないでしょ」
「………………」
 アレクセイはまた黙り込む。レイヴンは自分が柄にもなく長々と話している内にまた虚空へ逃避したかと思い、横目で彼の表情を窺う。
 すると、意外にもアレクセイの横顔にはやや困惑の色。
「……彼らの思いに応えても、彼らが損をするのではないか?」

 ああ、なるほどこの男は――

「損得だけで人の繋がりを判断するなんて無粋ってもんよ、大将」
 長い間利害関係のみで繋がった人間関係を築いていたせいだろう。人の厚意に甘えるということを、アレクセイは忘れてしまっている。
「青年達は単にほっとけない病なのよ。生き残った大将をほっとけない、死にたがりな大将をほっとけない、一人ぼっちな大将をほっとけない……勿論、俺様もね」
 ニヤリと笑ってアレクセイに顔を向けてみれば、彼もこちらに顔を向けていて、驚いたような、それでいてどこかすがるような目でレイヴンを見ていた。

「……私はどうすれば、彼らの思いに応えられる……?」

 そして紡がれた力ない問いに、レイヴンの頬が緩む。どうやらこの男は、〝友達″の作り方を知らなかっただけらしい。
「そーねぇ……まずは、青年と仲直り、かな」
「それだけは絶対に嫌だ」
「ありゃりゃ……」
 が、切り出した案を断固拒否され微笑みが苦笑いに変わる。
(まったく、手のかかるお子様だこと)
 どうも、もうしばらくはガキの喧嘩を見守ってやらないといけないようだ。














絶対この2人って相容れない関係だよねって思って書いたお話。
あ、管理人はぼっちな閣下も好きだよ!!

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