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今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)10:04
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2012/01/04 (Wed)23:41
遅くなりましたが皆さま明けましておめでとうございます!

せっかくアレパティも始まったことだし、今年も貪欲カラスをよろしくお願いします!!



さて、新年のあいさつもそこそこにお題小説投下。

うん、ごめん。新年1発目なのに全然めでたくない話だよ!

まあ初ヤンデレイヴンという意味では記念かもしれませんが(爆)。




Raven*Rita 20 title.(La traviata.様提供)
魔導器
天才魔導士
添い寝
熱帯夜
忘れられた神殿
・帝国騎士団隊長首席
大嫌い
氷刃海
前夜
そして、続く未来
・20
鼓動
箱庭
詠唱
『裏切り者』
・遺されたコンパクト
・触れられない過去
・好き嫌い
・露天風呂の楽しみ方
カーテンコールを今度こそ


※注意

・ヤンデレイヴン
・死ネタ
・流血
・モブが出張る


そんな感じでどぞー。

氷刃海


 ゾフェル氷刃海――イリキア大陸の最北に広がる、流氷が支配する海域だ。
 時期が良ければここを通ってハルルからカプワ・ノールまで渡ることもできるが、寒い上に魔物もいるし、そもそも渡ることが出来るというだけでエフミドの丘を通る整備された陸路を蹴ってまでこんな超迂回ルートを好き好んで通る者などいる筈がない。
 ――だからこそ、ここを通る者もいる訳だが。
「うっへ、寒ぅ」
 氷に刺さった由縁も知らぬ刃の間を進みながら、男は手を擦り合わせた。
 わざわざこんな氷上を通ってノールへと渡ろうとしている男は、いわゆる密売人だ。この時期は彼が取り扱っているクスリの原材料が収穫時期を迎える為、主要な街道はあちこちに検問が出来ている。そのため、この迂回ルートを利用することにしたのだ。
「くそ、やっぱ引き受けるんじゃなかったな……」
 運び役を成功させれば分け前を増やしてやるという言葉に釣られ2つ返事で了承した訳だが、やはり寒いものは寒い。「これで分け前少なかったらあいつら殺す」などと仲間たちへの愚痴を零し、男は足を速めた。幸いこれまで魔物との遭遇は少なく、寒さを除けば旅路は順調だ、今日中にはノールに到着できるだろう。そこで取引相手にブツを渡して仕事は完了、帰りはもう乗合馬車でも利用しよう。
「……ん?」
 少しでも寒さを忘れる為に今後の計画を練っていた男の視界に、いつの間にか人影が映っていた。
 氷の上にぽつんと座った、紫色の羽織の……男、だろうか。長い髪を束ねた後ろ姿だが、体格から見るに中年男性のように見える。
 もしや同業者か、ただの物好きか、そもそも氷の上に座りこんで何をしているのか、生きているのか……何にせよ厄介事は避けたいところであるが、残念ながら流氷の並びから見てこの先に進むには彼の前を通らなければならない。
 一度舌打ちしてから後ろ腰に付けた剣に手を掛け、男の方へと向かって進んで行く。
 近づいていくにつれて、その男が目の前にある氷壁をじっと見つめていることに気付いた。それに、何やら呟くような、話しかけるような声も断続的に聞こえて始める。
 不審に思うまま、男から氷壁に視線を移す。この位置だと太陽の光が反射して見えにくいが、近づくにつれてその中にも何やら影が見えてきた。
「っ!」
 その影の正体を認めた途端、思わず息を詰めた。

 少女が1人、氷漬けになっている。

「……あら、こんな所に人なんて珍しいわね」
 その拍子に、男に接近を気付かれてしまったらしい。振り向いた男は妙な口調でそう声をかけてきて、ゆらりと腰を上げた。
「あんたは、こんな所で一体何を……い、いやそれよりこの娘は……?」
 すっかり動揺してしまった男は、剣を抜くのも忘れ中年に問う。すると彼は少し微笑んで氷壁に――その中の少女に、視線を戻した。
「この子は、俺を助けようとしてくれたのよ」
 まるで瞬間的に凍りついたように、少女は僅かに手を伸ばし、驚いたような表情で今中年が立っている方向を見つめていた。中年の男は、その凍った瞳と視線を絡めている。
「助けようとした……って……」
 それだけの説明では事情が呑み込める筈もなく、男は更に尋ねる。対して中年は男などまるで眼中にないかのように少女を見つめたまま、それでも彼の問いには答える。
「ある日、俺の魔導器が調子悪くなって、ここのエアルクレーネの力を使えば術式の誤差が解消されるってことになったの。そんで、実際ここで魔導器の術式をいじって誤差が消えたと思った途端エアルクレーネが暴走してね。
 お陰で俺は今も健在だけど、この子は見ての通り……この氷も、どんなに頑張っても溶かせないし、割れもしない……」
 氷に手を伸ばし寂しげに撫でる中年の男は、簡潔に説明したつもりなのだろう。だがこちらとしては冒頭に出てきた単語で話が止まってしまっている。
「魔導器だって……?」
 この男の話では、発端は魔導器の不調らしい。だが、そんな筈はない。

「おいおい、嘘つくなよ。魔導器は200年も前に星喰みとやらを消す為に世界中から1つ残らず放棄した筈だろ?」

 そう、魔導器は200年も昔の技術だ。それが引き起こしたエアルの大量消費により星喰みという災厄が世界を覆い、それを打ち消すのと引き換えに魔導器が消え代わりに今のマナと精霊が普及したと、この世界の誰もが幼いころから教え聞かされている。
「200年?」
 中年の男は目を瞬かせ、再度こちらを振り向いた。だが、その表情は嘘が見破られたことではなく、その数字に驚いたような様子だった。

「……そっか、そんなに経つのか……」

 それだけ言って、彼はまた少女を見つめる。
 その様子に、男はぞわりと身体中の毛が逆立つような感覚を覚える。まさか、この中年は200年も前から生きてきたというのか……見たところ少し胡散臭いだけのただの中年で、その辺りの人間と変わらないというのに……?
 考えて、男はしかしすぐにかぶりを振った。そんな馬鹿なことがある筈がない。きっとこの中年は、この少女を失って気が触れてしまっているだけだ。そう自分に言い聞かせる。
 とにかく、この中年には関わらない方がいい。そう悟った男はそっと身を翻す――だが、
「あ、そうそう」
 背後から声を掛けられ、その足がピタリと止まる。何か忘れていたと言わんばかりの口調ではあったが、その声にうすら冷たい何かが含まれていて、また身の毛がよだつ。寒い筈なのに、冷や汗が止まらない。
 得体の知れない恐怖に身体が固まり、振り返ることもできないまま視線だけ何とか背後に向ける。
 いつの間に距離を詰めていたのか、歪んだ笑みを浮かべた中年の顔がすぐ目の前にあった。

「あの子のことが他に知られて今日みたいに2人っきりの時間が邪魔されるのも嫌だから、悪いけどそこに沈んでてくれる?」

 

 冷たい飛沫が舞い、血にまみれた男の身体が絶対零度の水底へと沈んでいく。氷や水面にもまだ血が残っているが、いずれは雪に、波に、紛れて消えて行くだろう。
 独り残った中年の男は、顔に付いた返り血を拭い、そして氷に閉じ込められた少女を振り向いた。
 そして、少女を視界に収めたその顔はとても幸せそうに歪む。

「ああ、やっぱりリタっちには紅が似合うわ……」

 でも、どうせならこんなどこの馬の骨かも分からない奴の紅より、自分の紅を纏わせてやろう。幸い、彼女のお陰で多少の出血で命を落とすようなやわな身体ではなくなったのだから。あれだけ苦手だった寒さも、今は全然感じない。

 そう、自分達はずっとずっと2人きり……遠い未来の果てに、この身か、世界が朽ち果てるまで――














何かよくわからんけど心臓魔導器とエアルの作用で不死身になったおっさんと、溶けない氷漬けになったリタっち的な。

せっかくのお題でどうしてこうもねじ曲がった解釈をするのか。
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