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今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)09:47
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2009/07/11 (Sat)23:04
昨日の分、修正があったので携帯からやったら容量の関係で最後の方切れてましたね……昼に来てくださった方はすみませんでしたorz


という訳で昨日の続きです。

だらだら書いてたらとあるお方とダダ被りしてしまいました\(^o^)/

例え愚かな想いでも(後篇)

 

 翌日、一行は森の中を進んでいた。
「カロル、この森抜けるのにあとどれくらいだ?」
 先頭を進むユーリが、その隣で地図を広げているカロルに問う。
「うーん、1時間くらいかなぁ」
 指でたどりながら確認し、答えるカロル。
「えー」
 それに反応するように声を上げたのは、尋ねたユーリ……ではなく、その後方に続くレイヴンだ。
「まだそんなにあんのぉ~? おっさんもう疲れた~」
 どうしようもないことに駄々をこね始める中年。いつものことではあるが、まったくもってだらしない。
「おっさん……」
 振り向いたユーリは、呆れの眼差しを彼に向けた。
 昨日の今日でよくもまあそんなテンションでいられるな、という考えが真っ先に浮かぶが、ひょっとしたらだからこそわざといつものように振舞っているのかもしれない。だとすれば、ねじれた形の強がり――あるいは気遣いが一層痛々しい。いろんな意味で。
「……情けねーぞ、年長者だろ」
 いろいろと言いたいことはあるがとりあえずそう続けてやると、レイヴンは口を尖らせてブーブーと抗議してくる。
「だからよ! 年寄りはもっと労わってよね!!」
「頑張れ爺さんあと1時間歩けば休めるぞ」
 棒読みで労わりの言葉を返し、もういろいろと面倒になって視線を前方に戻す。はあ、とため息をひとつ吐くと、カロルも苦笑いを浮かべていた。
 
「あ、ひょっとして……」
 数秒後、エステルが何かを思いついたように「爺さんは酷いでしょ、爺さんは」とぶつぶつ言っているレイヴンに話しかけてくる。
「レイヴン、心臓の調子でも悪いんです?」
「!!」
 その言葉に、一瞬にして彼は硬直する。
 エステルの様子を窺うと、本当に心配そうな表情でこちらを見つめている。彼女のことだから、決して当てつけや皮肉などではないだろう。故にその真剣さが、かえって居心地が悪い。
「い……いやぁ、別にそういう訳じゃあ……」
 視線を逸らし、急に滑舌の悪くなったレイヴンに、彼女は訝しむどころかさらに心配の言葉をかける。
「そうなんです? でも念のためリタに診てもらった方が……」
「いや……大丈夫だから、マジで」
 内心ではその提案に相当焦りながら、何とか冷静を保とうとそう返すが、本気でその身を案じてくれているエステルは止まってくれなかった。
「リター、ちょっとレイヴンの心臓見てあげてください」
 前方にいるリタにそう呼び掛ける。
「ちょっ、嬢ちゃん! 人の話聞いてる!?」
 流石に動揺しきった声で、レイヴンは彼女に尋ねる。
 だが彼女の呼びかけでリタが振り向いたのに気付くと、うっ、と言葉を詰まらせた。
 リタの顔は至って無表情で、何の感情も感じさせないまま、彼女はただ冷たく言い放つ。

「本人が平気って言ってんだから平気なんでしょ……」

 形式的には、エステルへの返答なのだろう。だが、自分に向けられたままの視線と言い、その口調と言い、その矛先は明らかにこちらであった。
 そして彼女はそのままふいっと前に向き直り、2度と振りむこうとはしない。
「………………」
 自分が茫然としていることに気付いたのは、それからやや遅れてのことであった。
……これは、思ったよりきついかもしれない。

「…………?」
 状況を飲み込めないエステルはただ首をかしげ、再びレイヴンに尋ねて来る。
「レイヴン、リタと何かあったんです? そう言えば朝から何も話してませんよね?」
 あからさまなリタの反応に彼女も何か勘付いたようであった。
「ん~……?」
 考えるふりをして瞳をやや上に向け、しばらくしてから彼女を向きその問いを否定する。
「べっつに~……?」
「そう……ですか」
 まだ引っかかっているのだろう、その表情は何か言いたげであったが、素直に相槌を打ってくれるエステルに内心感謝の念を抱きつつ、レイヴンもまた視線を前方に戻した。

 そう……何もない。
 ただ、戻しただけだ……本来のあるべき関係に――

 そう誰でもない自分に言い聞かせるが、凍てつかせたはずの感情が先ほどのリタの反応にどうしようもないほどの悲哀を叫んでいる。
(……まだ諦めきれてない、か。こりゃ重症だな……)
 何とか他人事のようにひとりごち、頭をかく。
(ま、耐えるしかないか……)

 ――それが、彼女のためなのだから。

 その時、
「ん?」
 一瞬だけ胸に違和感を感じ、思わず手を当てる。
 苦痛とまではいかないものの、鼓動が詰まったような感じがしたのだが、しばらく待ってみても魔導器はいつも通り規則正しいリズムを刻んでいる。
(……気のせいか?)
 先刻の会話で変な意識でもしてしまったのだろうか、とにかく異常はないようなので当てた手を戻そうとする――次の瞬間。
「!!」
 鼓動が一際大きくなったかと思うと、次から急に微弱なものになった。
 同時に襲ってくる、激痛にも似た胸の苦しみ。
「ッ……! がっ……は!!」
 声を上げようにも、上手く空気を吐けない。あっという間に苦痛は激化し、堪らずその場に膝をついた。
「レイヴン!?」
 悲鳴にも似た声で、エステルが名を呼ぶ。だがそれに応える余裕は彼には残されていない。
 転倒だけは避けようと地面に着いた片腕が震える。重くなる身体、困難になってくる呼吸……上着の左胸部分を掴む手すら、すぐにずり落ちてしまいそうだ。
(まずい……!!)
 少しでも多くの空気を取り入れようと、本能的に口が大きく開く。ぜぇぜぇと周囲に聞こえるほどの音を立て、それでも呼吸は楽になるばかりか見る見るうちに詰まっていく。
 過去にも何度か経験したことのある〝発作″――だが、今までの中で1番大きい。
(精霊化の影響で調子がいいからって油断しすぎてたか……!)
「おいおっさん! どうした、大丈夫か!?」
 自分の息の音にまぎれて、ユーリの声が聞こえてくる。

(くそ……よりによってこんな時に……!!)

 上着を掴み直し、何とか意識を保ちながらそう毒づく。

 ――だが、そこまでだった。
 体を支える腕から力が抜け、ぐらりと身体が傾くのが分かる。

「おっさん!! ……レイヴン!!」

 倒れる直前、一瞬だけ上を向いた目にあの少女が映った。
 こちらに手を伸ばして駆け寄ってきながら何事かを叫んでいるようだったが、もはやその言葉を聞きとることすらできない。
(あぁ……しまった――)
 ただ、霞んでいく視界に映ったその表情だけは何故かはっきりと目に焼き付けられて――

――また、泣かせてしまった……――

 迫りくる闇と静寂の中で、彼の意識が最後に浮かべたのはそんな言葉だった。

 


 ハハ……俺もあんたと同じだな、大将。
 ずっと望んでたモンが、不要になった途端転がり込んできやがった……。
 しかも、そいつが文字通り仇になるとはな。

 ――ホント、笑えねぇ……――


 自分の生を否定し、死者として道具として利用し続けてきた主――彼と同じ末路を辿ることになるのかと、皮肉めいた思考が浮かぶ。

 思考が浮かぶということは、まだ自分は生きているのだろうか?
 だがあるのは思考だけで、何の感覚もそこにはない。
 やはり死んでしまったのか、と思うと、言葉では言い表せぬほどの落胆と絶望に襲われる。


 何故だ? 何故死が不要になった?
 あれだけ望んでいたというのに、あれだけこの生に絶望していたというのに……。

 ああ、決まっている……あの娘のせいだ。
 あの、気丈で愛らしい少女が望んでくれているからだ。

 ならば、もういいではないか。
 あの娘を手放したいのだろう? あの娘を自分から遠ざけたいのだろう?
 他ならぬ、彼女の為に。

 ……そうだ、そうだったな。
 確かに自分が選んだことだ。彼女の幸せの為に、彼女をつき放し、自分を遠ざけることは。
 そう考えると、これが1番いい方法なのかもしれない。
 永遠に、彼女を自分から遠ざけることができるのだから……。


 ――だが、この心を締め付けるような痛みは何だ?

 


「う……ん、ん……?」
 意識が浮上し、重い瞼を開けると、質素な天井が視界を覆い尽くした。
(……俺、は……?)
 まだはっきりと覚醒しきっていない脳を何とか働かせて、今の状況を理解するため記憶を辿る。
 そしてそう時間がかからないうちに、倒れたことを思い出した。
(……生きてる?)
 つまりあの状況から生還したということか。にわかには信じがたいが、ここがあの世だとも思えない。おそらく宿屋か何かだろう。
 ついでに倒れた後の記憶も何か残っていないか探ってみるが、完全に記憶が途切れてしまっている。そういえば何か夢……のようなものを見たような気もするが、思い出せない。

 起き上がると、軽い倦怠感があるものの、倒れる直前の苦痛は完全に姿を消していた。
 そして何かが自分の片手を掴んでいることに気付き、視線を落とす。
「リタ……っち?」
 彼が寝ているベッドの横。椅子に座ったままベッドの上に上半身を投げ出すような体制で、少女が寝息を立てていた。その手は、眠っていてもなお彼の手を握りしめている――

「リタに感謝しろよ」

 不意に降って来た声に顔を上げると、またもや部屋の壁にもたれかかるようにしてユーリが立っていた。
「あんたの魔導器必死に直して、安定してからも一晩中ずっとそこで起きてたんだからな」
「……そっか……」
 静かにそう答え、眠る少女を愛おしげに見つめる。
 そんなレイヴンの様子に安堵の息にも溜息にも似た息をつきながら、
「ったく、心配させやがって……。
 ま、起きたんなら俺ももういらねぇな。体調も悪くなさそうだし」
 そう言って踵を返すユーリ。
「青年」
「ん?」
 だがすぐに呼びとめられ、その足を止めて振り向く。
「すまんね」
 本当に申し訳なさそうに苦笑を浮かべ、レイヴンが言った。
「……だから、謝る相手違うっつーの」
 叱っているような口調で、しかしユーリは口の端を上げる。
 そしてすぐに身を翻し、部屋を出て行った。

(……一晩中……か……)
 残されたレイヴンは、リタの穏やかな寝顔を眺めながら彼の言葉を反芻する。
 確か、倒れたのは昼食を取って2時間ほど経っていたから、14時頃だったはずだ。部屋に備え付けられている時計を見ると午前7時。――酷く長い時間付き合わせてしまったようだ。
(無茶なのも、お互い様……だな)
 彼女の頭に手を伸ばし、起こさぬようにそっと撫でる。
 さらさらと流れる髪が、そしてそれを通して感じられる彼女のぬくもりが、心地いい。
 握られている方の手も軽く握り返してやると、そのぬくもりがより一層強く感じられて思わず笑みが漏れる。

「……ん……?」
 しばらくそうしていると、リタから小さく声が上がり、その翠眼がゆっくりと開かれた。
「……おっさん……」
 しまった、と思いつつも、そのまま自分を見上げてくる少女にレイヴンは穏やかに笑いかける。
「おはよ、リタっち……」
「あ……おはよ……」
 彼女もまた寝起きで頭が回らないのだろう、つられてそう挨拶を返して来――
「……ってバカアァァァァァァァァァァァ!!」
たかと思えば、いきなり殴られた。

「ちょ、リタっち! 朝からグーは反則だって!!」
 唐突なクリーンヒットに悲鳴じみた抗議を上げる。
「……………」
 だがリタはその1撃を決めると黙り込み、俯いてしまった。
「……リタっち?」
 名を呼んで問いかけてみた直後、彼女の肩が小さく震えていることに気付く。
「……何が、『おはよ』よ……」
 ようやく紡がれたその声も震えていた。

「あたしが……どれだけ心配したと思ってんの……?」

 伏せられた目を見ることはできないが、その端に溜まり始めた透明な液体が、光る。

「……ごめん」

 その言葉を噛みしめるように謝りの言葉を呟きながら、レイヴンも目を伏せる。
 彼女の様子をずっと見ていられるほど、彼は無粋でも――強くもなかった。
 ……そうやって泣かせてばかりいるのは自分の癖に。

「自分のことぐらい自分で分かるとか大口叩いといてぶっ倒れるし」
「ごめん」
「あたしには徹夜で看病させるし」
「ごめん」
「起きたら起きたで呑気に『おはよ』とか言ってくるし」
「ごめん」

 互いに目を合わせぬまま、一方的な会話が続く。
 言葉が増えるにつれ、リタの声はより震え、レイヴンの言葉はより弱くなっていった。

「ホント……最低よ、あんた……!!」

 完全に泣き声になる一歩手前、リタが一際大きな声で罵倒してくる。
 レイヴンの方も申し訳なさが最大値に迫り少しだけ口ごもるが、何とか同じ言葉を繰り返そうとする。

「……ごめ――」

 しかしその言葉は、突如上半身を襲った衝撃と圧迫感で遮られた。
 視界に飛び込んできたのは、リタの頭。彼の肩付近の服の布地を両手でぎゅっと握りしめ、顔を胸に押し付けて――きつく、抱きついてきたのだ。

「嫌いになんか……なってやんないんだから……っ!!」

 遂に始まった嗚咽の中で、彼女は必死にその言葉を口にした。
 レイヴンは思わず息をのみ、そのまま固まってしまう。

 その言葉が意味するのは、彼の決意が水泡に帰すということ。
 隠していなければ意味のなかった思惑が露呈してしまったのだ。

「……青年に聞いたの?」
 やがてそう尋ねると、彼の服に顔を埋めたままリタはうなずいた。
「そっか」
 きっと、ユーリなりに2人の関係を案じてくれたのだろう。
いや、あるいはレイヴンのやり方がやはり許せなかったのかもしれない。本当の気持ちを偽り、彼女の為だと言いながらその彼女を傷つけるようなやり方が。

 そんなことを考えていると、リタが再び震える声で言葉を紡ぎ始める。
「でも悔しいけど……あたしもあんたを手放したくないから――」

 ――ずっと、あんたに触れさせて……ずっと、あたしの傍にいて……――

 涙と吐息をレイヴンの服に染み込ませ、むせぶ体をより一層彼に押し付けながら彼女はそう言った。
「お願い……」
 最後に弱々しくそう付け加え、こみ上げて来る嗚咽でそれ以上は何も言えないようだった。


――ああ、参ったな……――

 抱きしめてやりたい、その肩を、その身体を。
……分かっている、抱きしめるべきなのだ。

 だが、許されるのだろうか? 触れることが、その手に彼女を収めてしまうことが。

 1度は否としたその問い。……ただ、この娘がこんなにも自分を必要としてくれている、こんなにも自分を望んでくれている。
それだけで、もう十分――

「ありがとう、リタっち……」

――その答えを、覆せる。

 なおも震える身体に腕を回し、レイヴンはリタを抱きしめた。
 もう手放すまいと、きつく、きつく……。

 苦しい程の抱擁のはずなのに、それでも少女はそんな彼に応えるように、より強くしがみついてきてくれた。



















もともとはアナログ漫画で書いてた話だったのでストーリー自体は出来上がってたんですが、いざ文章にしようとしたら言い回しとかに悩んでしまって結構時間がかかってしまいました。
その割には表現がワンパターンですが(爆)。



やっぱりおっさんも最初は色々と悩んでたんだろーなー、リタっちの事を大切に思うからこそ突き放してたら萌えるなーとか思ってたらおっさんがデレツンデレになった。あんた何歳だ。

空気が読める男ユーリ。そんな彼に取り持ってもらわないとなんないような2人の恋路も好きです。
なんかレイヴン×リタ←ユーリっぽく見えるけど、別にそんなつもりはないです。

んで、最終的にはリタっちが攻めておっさんにトドメ刺しちゃえばいいと思うんだ☆
すべて承知の上でそれでも傍にいてくれるリタっち……ヤバッ! おっさん泣いちゃうよ!!

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