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今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)09:41
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2009/05/23 (Sat)02:29
お題更新。


おっさんの心臓がEDで精霊化しなかったことについて、管理人としてはこの解釈です。

公式で正式な記述が出たらさようなら、ということで。


あとずっと視点がおっさん寄りだったから、リタっち寄りにチャレンジ☆




Raven*Rita 20 title.
 ・魔導器
 ・天才魔導士
 ・添い寝
 ・熱帯夜
 ・忘れられた神殿(済)
 ・帝国騎士団隊長主席
 ・大嫌い
 ・氷刃海
 ・前夜(コレ)
 ・そして、続く未来
 ・20
 ・鼓動
 ・箱庭
 ・詠唱
 ・『裏切り者』
 ・遺されたコンパクト
 ・触れられない過去
 ・好き嫌い
 ・露天風呂の楽しみ方
 ・カーテンコールを今度こそ

前夜

 
 

 夜も更け、仲間も街の住人も寝静まった頃――街の広場に突き出した古い魔導器の前に、目的の人物はいた。
「おっさん」
 そう呼んで駆け寄ると、振り返って自分を認めたレイヴンの微笑が、月明かりに照らされる。
「お、リタっち」
 それだけでつられて笑ってしまいそうになるのを抑え、リタは至極平然と彼に問う。
「宿にいないと思ったら……何してんのよ。こんな時間に、こんなところで」
「まあ、ちょっと考え事をねー……って」
 リタの言葉に何か引っかかるものを感じたのか、レイヴンの言葉が止まり、彼は考え込むように顎に手を当てる。
 そして、いつも彼女をからかう時のニヤニヤとした笑みを浮かべて問い返してきた。
「ひょっとしてリタっち、おっさんのこと探しに来てくれたの?」
「なっ!」
 図星を突かれ、思わず赤面する。
「そんな訳ないでしょ! あ、あたしは……ただ魔導器のネットワーク構築が終わったから、ちょっと外の空気を吸いに来ただけよ!!」
 声を荒らげて弁明する彼女を、彼は楽しそうに見つめて来る。
ばれているな、間違いなく。
「……ふんっ」
 気恥かしさと照れくささから、顔をそむける。
「ははっ、まあそういうことにしとこうかね」
 苦笑いしながらリタの言い分を表面上でも認めてくれるレイヴン。
 わざわざそこを掘り下げようとしないこういうところは、なんだかんだ言ってやはり大人なんだな、と、些細なことで再認識させられる。

「……終わったのね、ネットワーク構築」
「うん」
 そのまま話題を逸らしてくれるレイヴンに、リタは顔はそっぽを向いたままであるが素直にうなずいた。
「さっすが天才魔導少女」
 頭をくしゃくしゃと撫で、「こんな遅くまでお疲れさま」と優しく労わってくれる。
 今までの彼女ならすぐに振り払うなり、鉄拳を飛ばすなり、魔術を放つなりしているところだが、いつの間にかそれもなくなった。旅の中で芽生えた感情が、この状況がむしろ嬉しいと喜んでいる。
 ……彼には絶対に言ってやらないが。

 それはそうと、彼にはその件に関してもう一つ伝えておかなければ。
「……ちゃんと……外しておいたから」
「ん? 何を?」
 ぼそりと呟いたリタの言葉の意味することが読み取れず、レイヴンは聞き返す。

「あんたの心臓魔導器……ネットワークからちゃんと外しておいたから」

「…………」

 レイヴンの手が、止まった。
「そっか……」
 視線だけ向けて彼の様子を窺うと、彼は相変わらず微笑んでいた。
 ただ、その笑みに含まれているのは安堵というよりは明らかに――

「何残念そうな顔してんのよ……」

 完全に機嫌を損ねた様相で、リタは尋ねた。
 期待していなかった希望――それがやはりだめだった……そんな感情が、彼の表情から読み取れた。
 この男は、まだ望んでいるのか。今まで自分が散々叱って来たというのに。

「……そんな顔してる?」
 無駄だと知ってか、隠すつもりはないのだろう。背をかがめてリタに視線を合わせると、首をかしげて見せる。
 リタはそんな彼の頭をはたく。大して力を加えていなかった掌が、癖毛に覆われた彼の頭に触れ、ぽすり、と音を立てた。
「言い訳しないことはほめてあげる。……でも納得できる答えじゃないとただじゃおかないから」
 彼女の言葉にレイヴンは苦笑する。
 そして再度その頭を撫でると、そのままどっこいせと腰を下ろした。
 2人の高さが逆転し、リタがレイヴンを見下ろす形になる。

「……んまあ、なんつーの? 別に死を望む気持ちは前に比べたらほとんどなくなったんだけどさ……」
 埋め込まれた心臓に手を当て、レイヴンは呟くように言った。
「星喰み倒したら……おっさんやることなくなっちゃうなーって思ってね」
 その言葉が含む何通りもの意味が、リタの頭を駆け抜ける。

 10年もの間、アレクセイの道具として……そして死人として心を殺して生きてきた彼に、やっと戻ってきた自由な生――
 だが人生さえ支配され続けた10年という月日は、あまりにも長かったのだろう。
 星喰みを倒すという目的のために、彼は今ここにいる。この星に生きるものとして、凛々の明星に命を握られたものとして、そして――この事態を招いた一端として。
 だがそれは、否が応でも突きつけられた目的でしかない。
 星喰みを倒したら当然その目的は消える。そうして初めて、何の命令も、強制もない、自分で方向を決めなければならない本当の意味で彼の人生が始まるのだ。
その人生を、考えることをやめてしまっていた自分がきちんと歩んでいけるかどうかが不安……なのだろう。

「さっき少年には『また夢を持つのが夢』なんて言っちゃったんだけどね、考えれば考えるほど虚無感バリバリの自分が浮かんじゃうんだわ。
 ……そうなるくらいなら、いっそのこと世界の糧になっちまったほうが――なんて思っちゃう訳」
 言葉自体はおどけているようであるが、静かな口調も憂いを帯びた表情も、それが彼の真摯な本音であることを物語っていた。

「……ばっかじゃないの」
 黙って聞いていたリタは、彼の言葉が終るとそう吐き捨てた。
 彼の不安も苦しみも、それゆえに出た彼の言動も理解できないわけではない。
 ――だが、馬鹿げている。
「ははっ、ホントばっかよねぇ」
 レイヴンは彼女の言葉を繰り返して力なく笑う。
「いい年こいたおっさんが……自分がやることぐらい自分で見つけろっての」
「そうじゃなくてっ!」
 不意にリタがレイヴンの襟をつかみ、自分の方へ引き寄せた。
 突然の出来事にぽかんとするレイヴンの顔に自らもぐいっと顔を近づけ、彼女は強い口調で、はっきりと言葉を紡ぐ。
「あんたにやりたいことがあろうが無かろうが関係ない。……それでも、世の中にはあんたがいるだけでいいって言うもの好きもいるのよ。
そいつのために生きてやろうって気はないの? それとも――」

――・・・・・・あんたは、あたしがあんたのことを必要としてることも分かんないの?――

「………………」
 驚いたような、あっけにとられたような表情で、レイヴンは黙りこむ。
「………………」
 リタも何も言わず、そのまま彼を真っ直ぐに見据え続ける。

「……リタっち……」
 やがてレイヴンが、彼女の名を呼んだ。
「そんなに顔近づけられると、キスしたくなるんだけど?」
 2人の顔の距離は、10cm弱。
「…………!!」
 言われて初めてその近さを自覚し、顔を真っ赤に染め、慌てて彼から手を離し後退するリタ。
 先ほどとは一転した初心な反応。我ながら決まらない。
 レイヴンを見るとこれまた愛おしそうに見つめて来るものだから、余計に顔が熱くなる。
「かっ! 勘違いしないでよね!! あたしはただ、ウザいくらいウジウジしてるあんたに喝入れたかっただけなんだから……!!」
 恥ずかしくて死にそうになりながらも必死に誤魔化そうとする。が、必死になればなるほど過剰に自分の言動を意識してしまう。
「…………っ!!」
 遂にはうつむき、黙り込んでしまった。

 そうして熱を保ったままの頬に、心地よい冷たさの手が添えられる。
 視線を少し上げると、レイヴンが手を伸ばし、優しく微笑んでいた。
「……何よ……」
 不機嫌そうにそう尋ねると、親指でリタの頬を撫でながらレイヴンは言った。
「ありがとね、リタっち……。
 いつも叱ってくれて」
 そうして幸せそうに笑うものだから、自分が単に彼を喜ばせているだけのような気がして腹が立ってきた。何だか悔しい。
「当り前でしょ。放っといたらウザいんだもの」
「たはは、言うねぇ……。
ま、おかげでおっさん、夢、見つかったわ」
 その言葉に、リタはすぐに反応する。
 どうやら、自分には我慢強さが足りないらしい。腹を立てていたはずなのに、彼への好意がすぐに逆転し、その喜ばしいであろう内容に少なからず心が躍った。
「……何?」

 そして返って来た答えがあまりにも嬉しくて、そして気恥かしすぎて、リタは再び赤面しながら思わず彼を蹴り飛ばしていた。

「さ……さぁ! もう寝るわよ! 明日は決戦なんだからしっかり休んどかないと!!」
「……リタっちー、流石に側頭部に回し蹴りはいくらおっさんでも本当に死んじゃうよ?」
「馬鹿言ってんじゃないわよ! 明日生き残るつもりなら、その程度軽いでしょ?
 てゆーか軽くなくても、絶対に生きときなさいよ!!」
「何か無理難題ふっかけられてる気がするんだけど」
「……無理でも難題でも、あんたには生き延びてもらってその夢かなえてもらわないと……あたしが困るんだから」

 


――長生きして、リタっちの傍にいて、リタっちを世界中の誰よりも幸せにしてあげること……それが、俺の夢だよ――













最近おっさんが死にたがりで困る。

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