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今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)10:01
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2010/02/22 (Mon)01:52
現パロの続きです。

一応、毎回最新のものより3~4話ぐらいは書き溜めているんですが、進み具合によって古いものの修正が必要になることが多いのである程度書き溜めてからアップしてます。
そしてリアルが忙しくなかなか書きたいところまで進まない……orz

ただ、水曜から4泊5日でリアル山籠りがあるので、少なくともその間は更新できないどころか執筆もできない!
妄想しかできないというこの苦痛!!

とりあえずこの2日は少し頑張ります(当社比)。


Heartful Life ♯4:14日の土曜日


 目が覚めて、最初に目にしたのは見慣れない天井。
(ああ……そっか……)
 ぼんやりする頭で、昨日の出来事を思い出す。
 身体を起こしてみると、閉められたままのカーテンの向こうは明るかった。とりあえず、無事に一晩は越せたらしい。

「お目覚めか、家出少女」

 その声に、思わずぎくりと身体が跳ねる。
 振り向くと、昨日のダイニングテーブルの椅子に座って優雅にコーヒーを飲みながら新聞を広げている――
「えっと……」
 あのレイヴンとか言うおっさんと顔も声もそっくりだけど、髪は綺麗にまとまっているし口調もかなり落ち着いている……というか、冷たい。そう言えば確か、双子の兄と暮らしていると言ってたけど……。
「……シュヴァーンだ。レイヴンの方は仕事でな、今は俺しかいない」
 あたしが戸惑ってるのを察したのか、もう一人のおっさんは短い名乗りと説明を口にした。
 それから1度マグカップに口をつけると、立ち上がってこっちに歩み寄ってくる。
「…………っ」
 反射的に身構えるあたし。でもシュヴァーンはそんなあたしの横を通り過ぎて、もう少し進んだ先にある窓のカーテンに手を掛けた。
 シャァァァって音を立てて、カーテンが開く。思っていたより強い日光が降り注いできて、眩しさに目を細めた。
 目が慣れてから窓の外を見ると、太陽は結構な高さまで登っていた。続いて部屋を見回し、壁にかかった時計が差していたのは10時過ぎ。
(あ……ひょっとして……)
 あたしが起きないようにカーテンを閉めたままだったんだろうか。
 ボーっとしたままのあたしの横を再びシュヴァーンが通り過ぎ、キッチンに立つと何事かごそごそと準備をし始める。
「今朝飯を作る。とりあえず顔を洗ってくるといい、洗面所は廊下の右側だ」
「う、うん……」
 のっそりとソファから降り、言われるままに洗面所に向かった。

 

 ドアを開いて洗面台の前に立つと、結構な寝ぐせのついたあたしが鏡に映る。
(うっわ、初対面でこんな姿見られた訳?)
 でもよく考えてみると、それ以前に寝顔も見られてるし、昨日に至ってはレイヴンって奴の前で大泣きしてる訳で――
(……最悪)
 思い出しただけで顔が熱くなる。とにかく、まずはこの髪を何とかしないと……。
 蛇口を捻り、手で掬った水で髪を濡らして手櫛で何とかしようとするけどなかなか治らない。
「う~……」
 唸りながら視線を落とすと、鏡の下に取り付けられた収納スペースがあった。コップが2つに、1本ずつ歯ブラシが立ててある、あのおっさん達のだろう。ヘアブラシは共用なのか、或いはどちらかは使っていないのか1つしかない。そしてその隣に、長細い袋が2つ。
 手に取ってみると、片方には櫛、もう片方には歯ブラシと歯磨き粉が入っていた。どこかのホテルから拝借したものなのだろう、シンプルなロゴが入っている。
(これ、使えってこと……よね?)
 とりあえず櫛の方を開け、髪をといていく。寝ぐせは完全に直せはしなかったけど、手櫛に比べれば随分マシになった。ついでにあたし自身は、若干の寝ぐせなら気にしない人種だ。
(歯磨きは……まあいいか、朝ご飯作ってくれるって言ってたし……)

 

 ダイニングに戻ると、丁度シュヴァーンが皿を並べているところだった。トーストにサラダ、あたしが作るといつも黄身が潰れる目玉焼きはその形を保ったまま……あ、これベーコンエッグだ。
「コーヒーは飲めるか?」
「え? あ、うん」
「そうか、よかった。俺も弟も甘いものは苦手な上コーヒー派なのでな、生憎ジュースも紅茶も置いていないんだ」
 そう言うとシュヴァーンはシンクの上のコーヒーメーカーからサーバーを取り出し、既に用意していたカップにコーヒーを注ぐ。それからそのカップもテーブルに置き、ミルクとスティックシュガーを隣に添えた。
「出来たぞ」
 そしてあたしを招くように椅子を引いてから、自分は元座っていた席――つまり、その席の正面の席に戻り、やや横向きの状態で座るとまた新聞を読み始める。
 おずおずと、あたしは示された席に向かう。
「い、いただきます……」
 シュヴァーンに聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で呟いて、あたしは遅い朝食を食べ始めた。

 この朝食も、やっぱりおいしかった。シュヴァーンが作ったのはベーコンエッグぐらいしかないけど、それでもあたしが自分で作るよりよっぽど上手い。何より焦げてないし。
「不味くはなかったようだな」
 最後にミルクと砂糖を入れたコーヒーを飲んでいると、新聞から目をこちらに向けてシュヴァーンがそう尋ねてきた。
 こっくりとうなずくと、彼は安堵の息なのか何なのか、とにかく深く息を吐いた。
 それから新聞を置き、あたしが食べた後の食器を取って流しに運ぶ。

「さて――」

 そしてあたしの正面の席に戻ると、今度は正面からあたしを見据えるようにして座り、腕を組む。
 無表情ではあるけど本題に入ろうといわんばかりの態度。あたしは飲みかけのコーヒーが入ったカップを置き、続く言葉に備える。
「リタ……といったか。昨日の大方の流れはレイヴンに聞いた。だから君の個人情報や、昨日の状況に至った経緯などを聞くつもりはない」
 あのおっさんと同じ顔をしながら、あのおっさんとは正反対の堅っ苦しい口調でシュヴァーンはそう切り出した。
「……とか何とか言って、本当はあたしの財布チェック済みなんでしょ?」
 彼から視線を逸らせば、あたしが寝ていたソファの横のテーブルには、まだあたしの財布が無防備なまま置かれている。どうせ見られて困るようなものは入れていないし、入っている額もたかが知れている。だからあたしもああやって放置した。
 あたしが返した言葉にシュヴァーンは一瞬口ごもり、また息を吐く。
「そうだな、訂正しよう。君の個人情報や家出の理由を聞くのは諦めた」
 でもあたしの返答は想定の範囲内だったのか、大して慌てる様子もなくすぐに話の流れを戻す。
「だが、一つだけ答えてもらおう。
 ……君はこれから、どうするつもりだ?」
 尋ねられたのは、あたしが最も恐れていた質問だった。
「別に……どうもしないわよ……」
 家から離れられればそれで良かった、あたしと言う存在を消せればそれで良かった。だから具体的なことは何一つ考えていなかったし、今もそれは変わらない。
 あたしにしてはかなり短絡的な行動だけど、頑固なのはやっぱりあたしらしいと、我ながら思う。
「それは家にはまだ帰らないということか?」
「そうね。でも安心して、この家からは今すぐ出ていく」
 本当は朝食を食べ終わってから言うつもりだった言葉。っていうか、どうして起きた時すぐにでも言わなかったんだろう。そうしてれば、こんな面倒な会話かわさずに済んだのに。
 とにかく、あたしはこれ以上この家に留まっているべきじゃない。言って早々に立ち上がって、財布を置いたテーブルに向かって足を踏み出す。
「じゃあ、あたしはこれで。
 ……泊めてくれてありがとう、あとご飯も。いいお節介だったわ」
 素直にお礼も言うこともできず、結局皮肉でぶち壊すあたし。そうやって自分が嫌われる方へ嫌われる方へと流れていくのも、もう慣れてしまった。その結果が結局今の状況な訳だけど。
「待ちたまえ」
 2・3歩進んだところで、シュヴァーンが呼び止めてくる。だが、機嫌を損ねさせたとばかり思っていたにも拘らず、不思議とその声から苛立ちは感じられない。
「何?」
 怒気を孕んだ声だったら、あたしは多分振り向いても、立ち止まってもいなかっただろう。

「君が家に帰る気になるまで、この家で君を保護する」

 あたしの視線をその双眸に捕えた瞬間、シュヴァーンはそう宣言した。













 


顔合わせて早々爆弾発言な兄貴。
 

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