忍者ブログ
今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)10:04
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2010/02/23 (Tue)23:57
カウンター見てたら2万HITが近いですね。
今回はフリリクを予定しておりますので、もしよければチェックしてやってください^^

明日から山籠り……PC持っていきたいけどそもそもいじる時間がないよ\(^o^)/




それでは続きで現パロです。


Heartful Life ♯6:これでも気にはしてる


 夕食のメニューは手作りコロッケとスープ、サラダ、それとご飯。
「おぉ、兄貴張りきったわね。やっぱ女の子に振舞うとなれば気合い入る?」
「その減らず口を今すぐ塞がないと本当に飯抜きにするぞ」
 テーブルに並べられた皿を眺めてニヤニヤしているおっさんに、シュヴァーンはチョップを一発お見舞いしてからその向かいに座る。
 あたしが座っているのは彼の対角線、つまりおっさんの隣。4人がけのテーブルだからどちらかに2人が並ぶのは仕方ないし、正面に2人並ばれる方が気まずいから文句は言えないけど、隣に人がいるというのもなかなか落ち着かない。
「ごめんねリタっち、テーブル狭くて……あ、ひょっとしてシュヴァーンの隣の方が良かった?」
 そんなあたしの心を読んだかのようにそう尋ねてくるおっさん。
 顔を上げると、おっさんは苦笑交じりにこちらを見下ろして来ていた。それから目だけ動かしてシュヴァーンを見ると、ギロリとおっさんを睨みつけている。
「……いいわよ、このままで……」
 どっちにしろこの落ち着かない気持ちは解決しないだろう。そう思ってぷいっと顔を正面に戻すと、おっさんがまた苦笑するのが分かった。
「さて、そんじゃせっかくのごちそうだし、食べましょうかね。
 いっただっきま~す」
 一人だけぱちんと手を合わせて、おっさんは一番にコロッケを頬張る。
 それに続いて、シュヴァーンとあたしも皿に手を伸ばした。

「うまっ! いや~、さすが兄貴だねぇ」
「食事中ぐらいもう少し静かに出来んのか愚弟」
 コロッケをかじりながら口の減らないおっさんと、スープをすすりながらそんなおっさんに悪態をつくシュヴァーン。言いあいをしていても2人はどこか楽しそうだった。そしてその隅で、家族で囲む食卓ってこんなものなのかな、なんて考えているあたしがいた。
 思い出そうとしてみても、誰かと食卓を囲んだ記憶があたしにはない。多分親が生きてた頃には毎日のようにあったんだろうけど、残念ながらあたしの脳にその光景を残すことは出来ていなかったようだ。
(団欒って言うんだっけ、こういうの……)
 ただ、そんな思考を進めているあたしはあくまでも客観的。珍しいものでも見るような気持ちで2人を観察しながら、コロッケを一口頬張った。
 さっくりと衣が割れて、ほくほくのジャガイモとひき肉の味が舌に広がる。味付けはスーパーの惣菜より少し薄めだけど、その分イモの風味がいい感じに出てきている。
(……美味しい)
 男の癖に、なんて古い考えを持ってはいないけど、もう3度目にもなるここの食事で未だにはずれがない――というか当たりばかりなのは結構驚きだ。
(それとも、ちゃんと自炊してたらこれくらい上手くなるのかな……)
 あたしは料理に対して、面倒臭いっていう気持ちと苦手意識しかもっていない。目玉焼きとか簡単なものは作ったりもするけど、それすらここの料理には遠く及ばない。……やっぱり無理な気がする。

「シュヴァーンのコロッケ、気に入ったみたいね」
 不意に声が降って来て、またおっさんを見ると今度はレタスをむしゃむしゃ食べながらおっさんはあたしの皿を箸で指す。
「もう2つも食べてる」
「あ……」
 気がつくと、あたしの皿に2つあったはずのコロッケは今あたしが箸で挟んでいる約3分の1個が最後となっていた。
「良かったわねー兄貴」
 茶化すようにそう言っておっさんがシュヴァーンを見る。シュヴァーンの方も少しだけ笑っていて、それでも少し皮肉っぽく言ってくる。
「好きなものを後に残してるだけじゃないのか?」
「このメニューで!? いくらなんでも卑屈すぎでしょ!
 ちょっとリタっち、何か言ってやってよ」
 おっさんはケラケラと笑いながらあたしに話を振ってきた。
「あ、あたしは別に――」
 さっきまで他人事だと思っていた食卓での会話に突然引っ張り出され、少しだけ焦ってしまう。
「……別に……嫌いじゃ、ないわよ……このコロッケ」
 そしてへそ曲がりのあたしは、素直に美味しいなんて言えない。
「だって」
「……光栄だな」
 それでも2人は気を悪くした様子もなく笑っていた。まったくもって訳の分からない中年達だ。

「おっさん達はもう20年近く2人で飯作っててさ、そこそこ上達したのはいいけど女の子に食べてもらうことなんてないからねー。いい刺激になるわ」
 最後のスープを飲み干し、自分の分を全部食べ終えたおっさんはそんな事を語り出した。
「……ふぅん」
 あたしは気のない返事をしながらも、自分達のことを語るおっさんの言葉に耳を傾ける。
「ま、ここ最近はシュヴァーンの方が作ってること多いから、腕は兄貴が上だけどね」
 箸を握ったおっさんの手が、まだコロッケの残ったシュヴァーンの皿へとこっそりと伸ばされる。
 だがシュヴーンがその上にまだご飯の残っているお茶碗を素早く乗せ、手を離す。絶妙なバランスでお茶碗はそこに留まるも、おっさんの手が動けば確実にひっくり返る状況……。
「手癖の悪さはお前の方が上だがな」
 ぴたりと動きを止めたおっさんを尻目に、彼は何事もなかったかのように自分のコロッケを悠々と口に運ぶ。つまみ食いを嫌らしく阻止されたおっさんははあ、とわざとらしくため息。
「あーあ、これでもう少し性格が良けりゃ兄貴もお婿に行けるのに……」
「その言葉、そっくりそのままお前に返す」
 ぴしゃりと言い切るシュヴァーンに、くぅっとおっさんが怯む。ついでにその手もお茶碗を乗せたままぴくぴくと痙攣し始めた。どうやらシュヴァーンの方が一枚も二枚も上手みたいだ、色々と。

 ……あ、そういえば――

「昨日のカレーは、どっちが作ってたの?」
 ふと思いついた疑問が、そのままあたしの口から漏れていた。
 出会った時から今までの一連の不可解さが、こいつらへの興味を引き起こしたのかもしれない。自分でも少し驚きはしたけど、よくよく考えれば2人の話をちゃんと聞いている時点であたしの2人への関心は明白だった。
「ああ、あれはおっさんが一昨日作ったやつよ。ルーが中途半端に残ってたから全部使い切っちゃおうと思ったら多くなっちゃったんだけど、正解だったみたいね」
 そう答えて、おっさんはにっこりと笑みを向けてくる。
「そう……」
 だけど、あのカレーも充分おいしかった、なんて素直な感想はやっぱり言えなかった。

 

「うっわ、兄貴そんなこと言ったの?」
 今日1日の出来事を兄貴から聞いた俺は、開口一番そう言ってやった。
(どーりで帰ってきた時にギスギスしてると思った……)
 まあ、引き留めておいてくれただけでも奇跡かも知んない訳だけど、それにしても兄貴の言い草はなかなか酷い。
 ただ今リタっちは入浴中(そう言えば昨日は入れ損ねた)。うちのシャンプーはその辺のスーパーで売ってるコンディショナーインのヤツなんだけど大丈夫だったかしら、ボディーソープもやっすいヤツだし、なんてことを頭の片隅で考えながら、俺はダイニングテーブルに肘をついて、流しで皿を洗ってる兄貴の背中に呆れの視線を送っていた。
「間違ったことを言った覚えはないが?」
「正論ばっか言えばいいってもんでもないでしょうよ、相手は15かそこらの女の子よ? もう少し労わりってもんを持ってあげてもいいでしょうに」
 まあ兄貴のことだから、厳しさと皮肉100%で接した訳でもないとは思う。優しいとこもしっかりあるくせに、それを自分からは絶対に話さない奴だ。
 それが何となく分かってるから、はあ、と大きくため息をついて糾弾はストップ。視線は正面の適当な位置に戻した。兄貴の方も何も言わず、しばし水が流れる音と皿がカチャカチャ鳴る音だけになる。
 考えるのは、明日からのこと。この家に置くと決めたはいいものの、俺も兄貴も社会人、当然ずっと家にいられる訳じゃない。その間、あの娘は結局独りになる訳で。
(傍にいてやりたいんだけどねぇ……)
 公園で見かけた時、小柄な体と相まって今にも消えてしまいそうに見えた。話しかけてみると強気の憎まれ口を返して来たものの、目はパチパチと瞬きを繰り返していた。人は緊張したり弱気になったりした時は、瞬きの回数が増えると聞いたことがある。それに、咄嗟に抱きかかえた時のあの反応も、やっぱり尋常じゃなかった。
 出会ったばかりで、何の事情も知らない、お節介どころか下手したら警察沙汰だってのも分かってる。それでもほっとけなかったんよね、どーしても。

「……嘘もつけないようだった」

「んあ?」
 思考にふけっていた俺の耳に兄貴が呟いた声が届き、再度そっちを見るといつの間にか兄貴は皿を洗い終え、拭く作業に移っていた。
「家に帰るという言葉さえも、あの娘は口にできなかった」
 もう一度、兄貴は短く言った。
「そっか」
 「ここにいるのが嫌なら家に帰るって言え」なんて誘導――にもならないような提案にあの娘が出した答え……多分、それは強がりなんかじゃない。詳しい状況までは分からないけど、リタっちは何らかのサインを見せていたんだろう。それに気付いたことが、兄貴にとって最後のひと押しになったんでしょーね。
「とりあえず、兄貴がぽっきり折れてくれたみたいで安心したわ。
 ……てか、もしあの子が帰るって言ったらどうするつもりだったのよ?」
 普通の女の子なら、こんなむさっ苦しい家にいろなんて言われたら絶対に帰るって言うだろうってーのに、よくもまあそんな賭けを切り出せたもんだ。……それとも、やっぱ追い出すつもりだったんかしら。
 尋ねてみると兄貴は肩をすくめて見せた。
「まああの娘が自分の意志を曲げられないということは大方予想がついていたからな、嘘をついたなら分かっただろうし揺さぶりをかけるつもりもあった」
「……最っ低~」
 ジト目で兄貴を眺め、嘆息交じりにそう言ってはみるものの当然本心からじゃない。
 ほんっといい性格してるわよねー、さすが俺の双子の兄。
「ただあの娘の反応は意志よりももっと根本の……本能からの拒絶、と言うべきか……とにかく、単なる家への反発とは違っていたな。
 ……お陰で、お前があの娘に過保護になる理由が分かった」
 言い終わると同時に、兄貴は最後の皿を食器ケースにしまい俺を振り向いた。

「確かに、放っておけないな」
 













兄貴が相当なツンデレになってます。
PR
Comment
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
112  110  109  108  107  106  105  104  103  102  101 
カウンター
キリ番:55000Hit 踏まれた方はご一報くださいm(_ _)m
はくしゅ
現パロ設定で5パチ目まで1つのお話です
ぽちっとお願いしますm(_ _)m
プロフィール
HN:
天音
HP:
性別:
女性
趣味:
おっさん
自己紹介:
018712d0.jpg
ついったー
このサイトの主成分
・鴉
・白鳥
・舞茸
・レイリタ
ちなみに管理人はチキンなのでリンクフリー。
でもご一報いただけると喜んで貼り返します(ぇ
http://ravenxraven.komusou.jp/バナーはこちら
バーコード
アクセス解析
忍者ブログ [PR]