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今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)10:04
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2011/10/10 (Mon)18:01
アンソロに寄稿させて頂いた学パロ設定で1本。

実はもう再録可なのでこちらの原稿の方も上げようかと思ったんですが、まだ頒布をされているようなので自重しときます。




※注意

・上述の通り学パロアンソロ設定(多分読んでなくても大丈夫ですが、寄稿した小説の裏話的な部分があります)

・後日談と言うより後年談

・主役がフレンちゃん

・リタっちが出てこない(でもレイリタ)

・年齢操作あり(レイリタと理事長だけ23年歳取ってます(爆))

・エイリーンちゃんが出てきます

・何を隠そうネタ元がドラマ「鈴/木/先/生」



了承できた方のみどうぞお進みください。

(Don’t) Repeat After Me


 名門のSt.ヴェスペリア学園の高等部で教員生活を始めて2年。
 大学での実習や講義を経てはいるものの、新採用として働き出した去年は初めての仕事が多く、目を回している内に過ぎてしまったあっという間の1年だった。
 だが2年目にもなればやはりその経験が活きてくるもので、教科指導にしろ事務的な仕事にしろ、随分とコツを掴んで去年のようにあたふたすることが少なくなった。
 事務量が格段に多くなる年度替わりを乗り越え、入学式と始業式を迎え、ようやく落ち着いて来た春の終わり。1年生も無事獲得したことだし、これからは顧問をしているテニス部の指導もしっかりしなければと思っていた矢先――

 なのに……なのにはやくも、教員生活の危機を迎えています。

 僕は今、2年生のクラス担任をしている。
 去年は1年生の担任をしていたので持ち上がりということになるが、クラス替えがあった上僕が授業に行ってなかったクラスもある為、ほとんど知らない生徒も少なくない。
 今回問題となるエイリーン・モルディオもその内の1人だ。
 言っておくが、問題といっても彼女に問題がある訳ではない。多少気難しいところはあるものの、むしろ成績優秀、明朗活発、ついでに言えば容姿端麗と、同級生からはもちろん教師からしてみても実によく出来た生徒だ。
 すなわち、問題は僕の方にある。

 

 きっかけは、ゴールデンウィークのほんの些細な出来事だ。今年は祝日と土日がうまい具合にかみ合って5連休という、生徒たちにしてみればテンションの上がるカレンダーだった。その分課題も多めに出て生徒達はあからさまに嫌そうな顔をしたりするのだが、連休の前後でその課題の作成とチェックに追われるこちらもなかなか辛いことに、彼らは気付いているのだろうか。
 話を元に戻そう。僕は5連休の内最初の2日を返上してテニス部の指導に来ることになっていた。その1日目の午後、指導を終えついでに少しだけ残っている事務作業も終わらせておこうと職員室に上がると、モルディオが廊下で何かをじっと見ていた。あのあたりには確か、20年ほど前にインターハイに出場したアーチェリー部(今は廃部状態)の写真が飾ってあるはずだ。
 通常目をくれる生徒も少ないのに、随分と真剣な顔でそれを見つめている姿が妙に印象的だった。
「モルディオ?」
 しかしそれ以前に部活動には入っていないはずの彼女がいることを不審に思い、声をかけてみると、少し垂れた翠眼がこちらを向き、表情がぱっと明るくなる。
「あ、フレンせんせ! よかったぁ」
 その言い草からして、どうやら僕に用があったらしい。くすんだ黒髪のポニーテールを揺らし、パタパタとスリッパを鳴らしながらこちらに駆け寄ってくる姿が、先程の真剣な顔とのギャップとも相まってやたら可愛らしいとか思っていた時点で、僕は道を踏み外していたのかもしれない。
「これ、遅れてすみません」
 僕の前まで来て彼女が鞄の中から引っ張り出したのは、連休前を締切にしていた進路希望調査。今まさに僕がこれからまとめようとしていたものだ。
「これのために?」
「フレン先生なら部活のついでに仕事も片付けちゃうだろうから、今日渡せるかもって言われて」
 モルディオの話を聞きながら、僕は調査用紙を受け取る。一瞬、誰にそんな話を聞いたのかと疑問にも思ったが、友達にでも聞いたのだろうと口に出す前に自己解決する。
「連休明けでも良かったのに」
 実際、提出が間に合っていないのは彼女を抜いてもあと5、6人はいる為、わざわざ今日持ってきてもらう必要もなかったのだが。
「だって、先生に迷惑かけたくないんだもん」
 そう言い返してきたモルディオのはにかんだような笑顔にドキッとしてしまった時点で、僕は道を(以下省略)。
「……そうか、わざわざありがとう。でも、次からはちゃんと期限内に出すように」
「はーい。じゃあせんせ、さよーなら」
「ああ、さようなら」
 典型的な別れの挨拶を済ませると、またスリッパの音を響かせながらモルディオが去っていく。階段のところで曲がってその姿が見えなくなってから、僕は職員室に入った。
 自動警備を解除し、自分の席についてからパソコンが立ち上がる時間を利用して先ほど受け取ったモルディオの進路希望に目を通す。
 第1希望から第3希望まで難関国立大学の医学部で埋まっている。話してみる限りでは前述のとおりごく普通の女子高生なのに、模試では学年どころか全国で2ケタの順位に食い込むような秀才。何というか、流石だ。
 そしてその片隅、欄外に可愛らしい字で「お仕事頑張ってくださいね♡ いい連休を」と書き足されていた。
 多分このはぁとの意味を考えだしたあたりから、僕は完全に(略)。

 ――そう、僕は教え子に好意を抱いてしまったのです。

 

「んまあ、恋って始まりはホント些細なことだもんねぇ……」
 僕の話を聞き終わったレイヴン先生が吐いた煙草の煙が、青空に立ち上って消えていく。
 レイヴン・オルトレイン先生――退職まであと2年を切った大ベテランの先生だが、だらしなさと優しさと真面目さの絶妙なバランスにより未だに生徒からは絶大な人気がある。何でも生徒からは本気の恋愛相談も持ちかけられているらしく、今年65歳になりながらバレンタインに生徒からチョコレート攻めに遭っていた理事長(ちなみに甘党なのでありがたく受け取っていた)といい、まったくもってこの世代の人も侮れない。
 今僕は、レイヴン先生の喫煙場所となっている生徒立ち入り禁止の屋上にまで足を運び、この先生に件の悩みを打ち明けていた(もちろん相手の生徒の名前は伏せてある)。
 最初は誰かに相談するのも躊躇われたが、昨夜モルディオが夢にまで出てきてしまったのでこれは重症だと慌て、咄嗟に思い浮かんだこの先生に遂に相談した次第だった。まさか幼馴染兼親友兼うちの学校の非常勤講師のユーリや、相方で担任をしてるジュディス先生に相談する訳にもいかないし。
「生徒に好意を持ってしまうなんて……僕は、教師を辞めるべきなんでしょうか……?」
 柵にもたれ両膝を立てて座っているレイヴン先生とは対照的に、僕はその正面で正座し、太股の上に乗せた拳をきつく握りしめた。
 そんな僕の様子を見て、レイヴン先生は苦笑しまた煙草を咥える。
「そんな今にも飛び降りそうな顔しなさんなって。教師っつったって人間の男なんだから、どーしよーもない感情抱くことだってあるもんよ」
「……先生も、そういう経験あるんですか?」
 いかにも訳知りといった様子で語るレイヴン先生に、僕は尋ねてみる。すると先生は少し遠い目をしながら上を向いて、ふぅっと煙を吐き出した。
 先程より量を増した白煙が、また立ち上って消えていく。

「……20年以上前の話よ。ちょっと変わった転校生が来てね……その娘はすんっごく頭が良くて、授業の時もつまんなそうにして――てか話なんか聞いてなかったのよ、その娘にとっては全部頭に入ってることばかりだったから。
 でも、せっかくだから俺の授業に興味を持ってくれないかってあれこれ考えてるうちに、授業じゃなくて自分に興味を持たせたいんだって気付いちまってね……。その娘が通りかかる時間を見計らって部活の指導でいいカッコ見せたり、昼休みとか部活がない放課後に大学レベルの問題解かせてみたり」

 なるほど、なかなかその生徒にのめり込んでいたようだ。
 かく言う僕も、実は最近モルディオが下校する時刻(彼女は毎日図書室によってから下校する為、放課後1時間ぐらいで帰ることが多い)を見計らってサーブの練習を指導したりしているので、かなり危ないかもしれない……ってしまった、レイヴン先生を危ない人扱いしてしまった。
「そ、それでレイヴン先生は最終的にどうされたんですか……?」
 相談しておきながら失礼極まりない考えが巡ったことを悟られないよう先を促すと、レイヴン先生は急に神妙な面持ちになる。
「実は、その生徒ね……」
「は、はい……」
 その様子にただならぬものを感じた僕に、思わず緊張が走る。
 そして、たっぷり5秒程溜めてから先生が放った言葉――

「今の、女房♪」

 僕の思考が、停止する。
 一方、何事もなかったかのように煙草をふかし始める先生はしてやったりの笑顔。
「……えええええええええええええええ!?」
 言葉の意味に思考が追い付くと同時に盛大にからかわれたことも理解するが、とにかく僕は驚愕の声を上げる。
「そ、そそそっそ、それってつまり……両想いで結婚までこぎつけたってことですか……!?」
「こぎつけたって……まあ、結婚したのは当然彼女が成人してからだけど、当時から一応慎ましやかな恋人生活を送ってたわ。
 あ、これ生徒には内緒ね。あと理事長にも振らないでね、このネタだけで死にたくなるほどいじられたことがあるから」
「………………」
 僕は黙ったまま思考を巡らせる。
 20年以上前ということは、当時先生とその生徒との年の差は20歳かそこら……立派な犯罪じゃないだろうか。
 いや、でもそんなカップルが成立しているのだから僕とモルディオにも十分望みが……って何を考えているんだ僕は!!
 僕が1人顔を赤くしぶんぶんと首を振っている内に、レイヴン先生が吸い終わった煙草を携帯灰皿にこすりつける。それから立ち上がってこちらに背を向け、大きく伸びをして言葉を続けた。
「だから生徒に惚れた腫れたって件については、俺は別に構わんと思う訳よ。あまりにも反社会的な展開にならない限りは。
 ……でもね、フレンせんせ」
 最後に僕に投げかけられた言葉に、僕は何故か寒気のようなものを感じる。恐る恐る先生を見上げてみると、彼は顔だけこちらに向けて笑っていた。……が、どうしてだろう、目が笑っていないように見えるのは。

「エイリーンに手ぇ出そうもんなら、命の保証はできねーわよ?」

 その言葉に、またもや僕の思考が停止する。
 どうしてレイヴン先生が彼女をファーストネームで呼んでいるんだ? そもそも、何故相手が彼女だとバレたんだろう……僕は彼女の名前は出していないはずだ。それに、レイヴン先生から感じ取れる明らかな殺気……。
 訳も分からないまま、ただ地雷を踏んでしまったことを本能的に感じ取って顔を引きつらせる僕に、先生はニヤリと笑い(ただし相変わらず目は笑っていない)説明し始める。

「実は俺、実家の事情でファミリーネームを使えなくてね、オルトレインってのは便宜上の仮名。結婚した時に相手の方のファミリーネームを継いだんだけど、職場で呼び名を変えてもらうのも面倒だからそのままオルトレインを使ってんの」
「は、はぁ……」
「で、今の俺の正式な名字がモルディオって訳よ」
「………………」

 えっと、つまりレイヴン先生の名前はレイヴン・オルトレインじゃなくてレイヴン・モルディオで、今僕が頭を悩ませているのはエイリーン・モルディオ……。
 先程まで赤くなっていた自分の顔が、さぁぁっと青くなっていくのを感じる。と同時に、今までの彼女の行動の理由が分かってきた。

 あの日、彼女が僕の行動を知っていたのは、僕と同じ職場で働く父親に聞いたから。つまり、父親の方も彼女が休日に調査用紙を提出したことを知っている。
 迷惑をかけたくないと言ってわざわざ休日に登校してきたのは、僕と同業者の父親が(多分)苦労しているのを知っているから。欄外にメッセージを書いてくれていたのも、その延長だろう。
 そして、僕が職員室に行った時に彼女が見ていたあの写真……20年前、インターハイに出場したアーチェリー部の当時の顧問は――レイヴン・オルトレイン先生。

「いやー、在りし日の父親の姿に見とれる娘って可愛いわよねぇ。
 うん、まだまだよそのモンにはやれねーわ」

 高らかに勝利宣言を述べるレイヴン先生からどす黒いオーラが漏れるのが、肉眼で見えた気がした。
 どうやら僕が最大の味方になり得ると思っていた人は、最大の敵になってしまったらしい。















ごめん書きそびれてたけどフレンちゃんは多分数学の先生(問題はそこじゃない)。
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