しばらく前にPixivの方に上げてたんですがうっかり(ry
サイファー戦後。
なんか整合性取れなくなったかもしれない。そういうの気にしない方向け。
続きからどぞ―。
見つけ出した終末
「……絶対、泣かない。泣きたく、ない……!!」
肩を震わせる少女を、姫君が抱きよせた。
悲痛な鳴き声が夜の港に響く。遠ざかっていく幽霊船に、届きそうなほど。
先程まで戦っていた少女の腹心だった者から受けた腹の傷が疼く。だが、そんなことは些細な事だ。彼女が抱えた痛みは……自分が彼女に与えた痛みは、こんなものではない。
――自分は、この世界にいるべきではない――
意識的か、無意識的かは、正直自分でも分からない。
ただ、気がつけば港の縁に立っていた自分の身体が傾いていた。
異形に遮られた星空が一瞬視界に映る。
「っ! たいしょ――!!」
切羽詰まった声は、水音にかき消された。
息が出来ない。苦しい。
だが、自分が目指すべきは本能が音を上げるその先。
深く深く、夜の水底へと堕ちていく身体を、しかし何者かが乱暴に掴み上げた。
港の石畳に引き上げられ、飲んでいた海水を吐き出す。喉のむず痒さに、咳を繰り返す本能がただ恨めしい。
「大将、大丈夫?」
尋ねて来たのは自身も海に飛び込み、罪人をわざわざ引き上げた張本人だ。水に濡れて重そうな羽織の袖を揺らしながら、咳を繰り返すその背中をさすっている。
「ちっ……おいおっさん、あんまり甘やかすんじゃねーぞ!」
「そんな言い方……!!」
いかにも苛立った様子の青年の声と、それをたしなめようとする姫君の声。
駄目だ、自分などのせいでどんな些細な諍いでも生まれしまうのは許されない。
顔を上げたその視界にまず映ったのは、海賊の少女だった。
誰よりも遠いところに立っていたその少女は、涙を浮かべた目でこちらを睨みつけていた。
悲しみ、怒り、恨み、憎しみ……この世の全ての負の感情を込めた視線で、少女はこちらを見据えていた。
今まで何度か同じような視線は感じていたが、今回のものは格段に感情が強い……心からの、殺意。
――殺されなければ。
そこでようやく、彼は答えを導き出した。
この身を滅ぼすべきは、自分ではない。
(彼女の手でこそ、殺されなければ)
勝手に死ぬなど許されない。自分は彼女に殺されなければならない。
彼女が味わった苦痛を、全て自分に返してから殺されなければ――
「すまない、手間を取らせたな……少し、足を滑らせただけだ」
ひとまず不毛な諍いを止めるべく、言葉を発して立ち上がった。
「……先に宿に戻る」
何か言いたそうな一同の間を抜け、少女の脇を通り抜ける。
「――殺してやる……」
すれ違う瞬間、確かに彼女が発した言葉に振り向くことはない。
ただ、ぞわりと背筋を駆けた期待感に、口の端を上げた。
最近精神的にヤバい状態のまいたけが好き。
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