忍者ブログ
今日も幸せレイリタ日和。
2025/04/21 (Mon)10:04
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2012/02/29 (Wed)00:06
今更ですが、よく考えたらパティちゃんのアーセルム号でのイベントって4大精霊揃えてからでしたね……うん、管理人が馬鹿だったんだ、仕方ないね。
多分このルートではザウデ後青年が復活してから例のイベントがあって、その後大将が加入したんだよ。うん。

てな訳でアレパティ成立編です。
2話続けてになりますがどぞ。

ついでに嬢ちゃんの話と辻褄が合わなくなりましたがあまり気にしないでください(爆)。

許した者と許された者は同じ傷分けあって


 熱が下がったばかりだと言うのに、アレクセイは早くも自分の身体をまた酷使し始めていた。昼は戦闘の前線に立ち、夜は遅くまで精霊化の研究作業に没頭する。彼にとっては寝込んでいた間の遅れを取り戻したいと言う気持ちがあるのだろうが、そもそも彼のせいで足止めを食らったなどと考えている人間は1人もいない。
「アレクセイ、そろそろ寝ないと身体に悪いですよ」
「ええ、この書物だけ読んだら部屋に戻ります」
「あ、もし夜食とか欲しかったらボク作ってくるけど」
「ありがとう。だが大丈夫だ、私のことは気にせずもう寝ていてくれ」
 就寝すべく部屋に戻ろうとしているエステルとカロルが、ロビーのテーブルに残って研究資料を広げているアレクセイに声をかけている。しかし2人は知らないのだろう、アレクセイにとってはむしろ眠りや食事の方が苦痛であることを。
 自分も部屋に戻るため途中まで階段を上っていたパティは、やんわりと言葉をかわしているアレクセイを振り向いた。正面に立った2人をソファに座ったまま見上げて苦笑する彼の顔色は、熱の為数日間強制的に休まざるをえなかった為か寝込む前よりはむしろ良い。しかし、その目元には早くも隈が薄く浮かび始めている……エステルやカロルが心配するのも無理はなかった。
「病み上がりの人間が、あまり無茶するでないぞ……みんな、お前を心配しておることくらい分かっとるじゃろう」
 気がつくと、パティは彼にそんな言葉を投げかけていた。それからすぐに、アレクセイだけでなくエステルやカロルも驚いたようにこちらを振り向いてきて、いかに自分がらしくない言葉を吐いてしまったのかを自覚する。しかも、わざわざ足を止めてまで。
「……じゃあの。うちはもう寝る」
 急にその場にいるのが気まずくなり、3人の内の誰かから言葉が帰ってくる前に逃げ出すようにして階段を駆け上がった。

 

「――ん……」
 ふと、目が覚めた。
 左右に並んだベッドでは仲間の女性陣が静かに寝息を立てており、何より窓の外からは月明かりしか差し込んできていないため、時刻は完全に深夜だろう。
 せっかくの睡眠時間が意味もなく途切れてしまったことを少々損に思いながら、パティは再び目を閉じる。と同時に、普段こんな風に目が覚めることは滅多にないのに一体どうしたのだろうと思考を巡らしてみる。そうして思い出したのは、ベッドに入ってから眠りに落ちる直前まで、アレクセイについて考えていたということ。
(……そう言えば、あいつはちゃんと休んでおるのか……?)
 部屋に戻る前彼がエステルと交わしていた話では、本を1冊読んでから部屋に戻ると言うことだった。悪夢に苦しめられている姿を2度も目の当たりにしている手前「さっさと寝ろ」とも言えないが、せめて身体と気を休める時間ぐらいは取るようにしなければ、本当に彼が保たない。1度そう考えだすと気になってしまい、再び手繰り寄せていた眠気があっという間に遠ざかっていく。
 最近の自分は変だ、どうしてこうもあの男のことを気にかけてしまうのだろう。無理をしてはいないか、苦しんではいないか……アレクセイのことを考える度、そんな思いばかりが頭を回る。自分はあの男を恨んでいる筈なのに、彼が誰にも告げずに自らの業に対する後悔で苦しみ続けていることを思うと、自分の胸が苦しくて仕方がない。
(……様子だけでも見て来るかの)
 どの道、このままでは気になって眠れそうもない。パティは閉じていた目を開くとベッドから這い出し、静かに部屋を出た。
 階段を下る途中から見え始めたロビーには、もう明かりは灯っていなかった。流石にエステルやカロルと約束していたこともあり、大人しく部屋に戻ったか……いや、だが目を凝らしてみて見てみると、テーブルの上には彼が読んでいた本が積まれたままになっていた。そしてその向こう側、腕を組んで壁にもたれかかりながら、窓から外を覗いている人影――
「おっさん……?」
「ん? ああ、パティちゃんか……どしたの? こんな時間に」
 思わずかけた声に振り向いたレイヴンは、目を丸くして驚いたそぶりをみせながらもいつもの調子でそう尋ねて来る。
「べ、別に……どうもせんのじゃが……目が覚めてしまったから下りてきてみただけじゃ。
 そう言うおっさんは、こんな所で何をしておるのじゃ?」
 しどろもどろで不自然な回答だが、すぐにレイヴンに話を振って追究を逃れる。すると彼は何が可笑しかったのかくすりと笑い、窓の外に視線を戻しながら答える。
「ちょっと大将の様子を見に、ね」
「アレクセイの……?」
 と言うことはやはり、アレクセイはまだ部屋に戻っていないということか。しかしここにもその本人は――
「あ……」
 レイヴンの視線の先、すなわち窓の外。海に面した通りに設置された柵に腕を預け、目前に広がる暗い海を……いや、正確には世界の中央に鎮座しているザウデ不落宮を眺める後ろ姿――アレクセイだ。
「海が見える街に来ると、いーっつもああやってザウデの方眺めてんのよね、大将」
「………………」
 レイヴンの話を聞きながらパティは窓に近寄り、アレクセイを見つめる。表情の見えないその背中には、それでも彼の果てない後悔が現れていた。ずっと彼が背負っている、責任と罪悪感……だがきっと、それを背負い込む前にも彼はもっと別の何かを背負っていたのだろう。気が触れてしまう程重い、何かを……。
「……なあ、おっさん……」
「ん?」
 呼びかけに応じたレイヴンが、また視線をこちらに向ける気配がする。パティは窓枠に置いた手を握りしめ、彼に尋ねた。

「あいつが背負ってきたものを知っておれば、うちはあいつを許すことが出来るんじゃろうか……」

 かつて1度彼に宣言した言葉とは全く逆の意味の問い――しかしここ最近になって、ずっと考えていたことだった。
「……パティちゃんは、大将のこと許したいと思ってくれてるの?」
 しばし沈黙を挟んでから、レイヴンがそう問い返してくる。その言葉に、驚愕の響きは意外にも含まれてはいない。
「……それは、うちにもよく分からん。ただ、今のあいつを見るのが何と言うか嫌なのじゃ……本当は苦しいくせに、自分の罪だからと1人で抱え込んでおるのを見るのが。生きて苦しみ抜けとあいつに言ったのはうちなのに……本当、訳が分からん」
「そっか……」
 短く相槌を打って、レイヴンはまた沈黙する。ザウデで生還してからアレクセイをずっと見守ってきた彼のことだ、何かしら考えてくれてはいるのだろうが、自分でも整理しきれていない感情をまたも彼に吐露してしまったことを少し申し訳なくも思う。

「……正直、パティちゃんが大将のことを許しても、あの人が無茶すんのを止めるとは思わねぇわ。むしろ、自分を恨んでる奴にまた躊躇いなく命を差し出すようになっちまうだろうね」

 やがてレイヴンが紡いだ答えに、パティは唇を噛んだ。
 そう、あの男が償うべき相手は自分だけではない。あの男を恨んでいるのも、自分だけではない。これまで何度も、彼が襲撃されたことを目の当たりにしてきて、それは身に染みて分かっている。
「ただ、それも含めて、大将がここまでやって来れたってのはパティちゃんのお陰なんよ。最近は愛想笑いぐらいは出来るようにもなったし、食事もそれなりに食べられるようになってきたし……眠れないのは相変わらずみたいだけど」
 続いた言葉を聞いたパティは、思わずレイヴンを見上げる。
「……おっさん、知っておったのか?」
 アレクセイがきちんと食事を摂れていないことを、パティも誰にも告げていなかった。それはアレクセイ本人の希望であり、パティも迷った末、周りに気を遣われてしまえば逆に彼の心労が増すのではと、そう危惧してのことだった。
 するとレイヴンは苦笑を浮かべ、くしゃりと自分の頭を掻く。
「まあ、ね……つっても、おっさんもパティちゃんのお陰で気付いたんだけど」
「うちの……?」
「そ。最近、パティちゃん食事当番の時魚料理作らなくなったっしょ? そん時に限って大将も顔色いいみたいだから、もしかして今までメニューになんか問題があったんじゃないかと思ってね……。今までは誤魔化されてばっかだったのに、そこまで詰めて聞いてみたらようやく大将も口割ってくれたわ。……まあ、口止めもされたんだけどね」
 流石の洞察力と言うべきか、これまで騎士団とギルドで才腕を振るってきただけのことはある。
「そん時、大将言ってたわ。パティちゃんには償わなくちゃならんのに、まだ迷惑しかかけてない……ってさ。だから、仮にパティちゃんがここで大将を許してやるって言っても、ひょっとしたら当の本人はまずそれを受け入れられないかも知んないわねぇ……」
 しみじみと、レイヴンはそう言った。いつもの冗談めいた口調ではあるが、やはりアレクセイのことを心底気にかけているのが伝わってくる。そんな彼の意見を重々しく受け止めながら、パティは窓の向こうのアレクセイに視線を戻した。
 今あの男は、どんな顔をしているのだろう、何を考えているのだろう。おおよそ前向きなこととも考えられないその内容に思いを馳せれば、光明の見えない現状に胸が詰まるばかりだ。
「でも、おっさんはさ……」
 レイヴンもアレクセイに視線を戻したのか、続いた言葉は少しだけ明瞭さがなくなっていた。
「あの人にも、幸せになって欲しいと思うのよ。おっさんに、この幸せな今をくれたのはあの人だから。
 ……今の大将にはそれを受け入れられる程の余裕はないけど、『あんたも幸せになっていいんだ』って、いつか伝えてやんなくちゃと思ってる」
「……幸せ……に」
 そのフレーズを、口の中で繰り返す。今あの男にとって、最も実現が難しいであろう言葉――なのに、彼のことを考えている自分の胸には思いの外すんなりと馴染んで行く。

(……ああ、そうか。うちは――)

「おっさん」
「なぁに?」
 顔を向けて呼びかけると、すぐにレイヴンの双眸はこちらを向いた。月光に照らされたその微笑には、アレクセイや自分に対する労わりも憂いも見え隠れしていて、彼も意外と気を回していたことが窺える。
 かく言う自分もなかなかのお人好しかもしれない、そんなことを考えると、今まで引き結ばれていた口の端が自然と上がった。

「悪いがその役、うちに譲ってもらうぞ」

 

 やってきたその浜辺には一面、紅い花が咲き乱れていた。かつて心を許した部下と所縁のあるあの花と同じ色に、因果のようなものすら感じる。
 他の仲間達にはフィエルティア号に留まってもらい、パティと2人で降り立ったそこはヒピオニア大陸の東、レナンスラ岩虚――あのブラックホープ号で命を落とした者達が眠る場所だと言う。
 今まで存在すら明かそうとしなかった此処に連れ出されたということは、遂にその時が訪れたということか。結局自分では彼女に何一つ償うことが出来なかったことを情けなく思いつつも、ここで彼女の気が晴れるならそれ以上のことはない。もとより、自分に拒否権などありはしないのだが。
 岩壁の1カ所にぽっかりと空いている洞穴に入ると中は意外と広く、天井の隙間からは日の光が差し込んでいた。
「こっちじゃ」
「ああ」
 パティに導かれるまま、途中枝別れはしていたものの幅のある一本道を進んで行く。
 果たして彼女は今、どんな思いでいるのだろう。匿われていたこの場所に、彼女と仲間達の最期の思い出の眠るこの場所に、仇敵の自分が遂に足を踏み入れたのだ。だが目の前を進む彼女の表情は見えるはずもなく、その小さな背中からも感情を窺い知ることは出来ない。
 ――ふと、視界が開けた。
 先程より量を増した日光に照らされたスペースに、いくつもの岩が並んでいる。
「ここ、が……?」
「……ああ、ブラックホープ号の乗客と、海精の牙の皆が眠る場所じゃ……」
 すなわち、墓標――その数は片手でも、両手でも数えきれるものではなく、ひっそりとしたこの場所には不釣り合いな程の存在感を放ちながら静かに佇んでいた。
(なんと、愚かな……)
 それが全てあの一件で自分が奪ってきた命の馴れの果てだと理解した瞬間、足から力が抜け、アレクセイはその場に両膝をついた。

 こんなに多くの者の命を奪っておきながら、自分はなんと愚かな道を突き進んできたのか。ある筈もない罪を被せ、死に至らしめてもなお彼らの墓をこんな場所にまで追いやって――
 彼らにもまた、大切な人がいた筈なのに……それを失うことの残酷さを、自分は2度も味わってきていたと言うのに……何故彼らに、彼らの大切な人に……彼女に、味わわせてしまったのか。
 過去の自分の底抜けの愚かさに吐き気がした。何が覇道だ、何が新世界だ、自分が負ってきた痛みを、こんなに多くの人間にまでまき散らしておいて。
 今すぐ過去に飛んで、最上の苦痛で自分を呪い殺したくなる程の激しい後悔に、アレクセイはただ打ちひしがれていた。

 

「……そろそろ、気は済んだか?」
 どれくらいそうしていたのだろう、静かにパティから掛けられた声に思わず肩が跳ねる。
 いつの間にか天井から差し込む光は燈色を帯びており、この地に足を踏み入れてからかなり時間が経っていることが分かった。目の前にいた筈のパティは自分の隣に腰をおろし、マリンブルーの瞳をこちらに向けてきていた。
「………………」
 アレクセイは、何も答えられないまま黙って目を伏せた。きっと自分が死ぬまで、この後悔に終わりなどないのだから。
 するとパティは小さくため息をついて腰を上げると、再びアレクセイの正面に回り込んできた。
「分かっておるじゃろうが、ここにお前をつれてきたのはケジメをつける為じゃ。
 でもな、アレクセイ。その前にうちに教えてくれ……おまえが、覇道なんぞを目指し始めた理由を」
 そうして尋ねられたのは、今まで語ろうとしなかった自分のこと。そんなことを知って一体どうしようと言うのかとも思ったが、同じく自分は今まで知りもしなかった場所にこうして連れられてきているのだ。ここで尋ねられた以上、自分の愚かな昔話を彼女に聞かせてやるのが筋だろう。
 一度口を開くと、考える間もなくそれは言葉となった。貴族と平民の平等な世を目指して騎士団の変革に取り組んでいたこと、出会ったかけがえのない友と、部下達がいた日々、そんな中勃発した人魔戦争、失った同志達、その後の動乱と2度目の破滅……そして、狂い始めた自分の野望――思い出すことも、口にすることも辛かったが、黙って頷いているパティを見ていると、不思議と話すのを止めようとは思わなかった。
「――後は、貴殿の知っている通りだ」
 ブラックホープ号の件の手前で、アレクセイは話を終えた。ずっと黙して聞いていたパティはそれからもしばらく黙りこんでこちらを見据えてきていたが、やがて詰めていたような息をゆっくりと吐き出した。
「……なあ、アレクセイ……こんな言葉をかけたところでおまえは納得せんのじゃろうが――」
 そして自分を呼んだ彼女の声はやけに優しく、泣いて謝る子供を慰めるような穏やかな手つきで、頭を撫でられる。
「おまえは、よく頑張ってきたではないか。
 ……確かに、おまえが歩んできた道は間違いばかりじゃ。でも、今はその間違いに気付いたのじゃろう? 死んでしまった人間を蘇らせることは無理でも、これからたくさんの人間を助けられる能力を、おまえは持っておるのだろう?
 ならば、生きろ。過去の罪を償う為でなく、未来の希望を作る為に。その代わり、おまえの傷は、うちが一緒に背負ってやる」
 彼女は一体、何を言っているのだろうか。だって、これではまるで――
「フルール、私は……」

 まるで、自分を許そうとしているようではないか。

 そんな筈はない、自分が彼女に許される筈が……。自分は、全てを失う絶望を知っていながら彼女から全てを奪ったのだ。そんな言葉をかけてもらう資格など、自分には、微塵も――
「話は最後まで聞け」
 だが言い返そうとした口元に人差し指を押し付けられ、なす術もなく閉口する。
 そしてアレクセイが黙ったのを確認すると、パティはその指を離して――笑った。

「アレクセイ、生きろ。生きて、うちを幸せにして……そんで、おまえも幸せになってみせい」

 いくつもの墓標を背に、天から差す光の中で微笑む彼女の姿を、アレクセイはただ呆然と見つめていた。














こないだカラオケ行ったら鐘を鳴らして(特に2番)がアレパティにしか聞こえなくなった。

PR
Comment
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
238  237  236  231  235  234  233  232  230  225  229 
カウンター
キリ番:55000Hit 踏まれた方はご一報くださいm(_ _)m
はくしゅ
現パロ設定で5パチ目まで1つのお話です
ぽちっとお願いしますm(_ _)m
プロフィール
HN:
天音
HP:
性別:
女性
趣味:
おっさん
自己紹介:
018712d0.jpg
ついったー
このサイトの主成分
・鴉
・白鳥
・舞茸
・レイリタ
ちなみに管理人はチキンなのでリンクフリー。
でもご一報いただけると喜んで貼り返します(ぇ
http://ravenxraven.komusou.jp/バナーはこちら
バーコード
アクセス解析
忍者ブログ [PR]